その日、カレーを避けようとしていたんです。それは事実。
カレーですよ。
こんな書き出しで始まった今回の「カレーですよ。」エントリーですが、皆さんは気がついているでありましょうか。この世界がカレーに満たされていることを。
世界と言う単位にするとなんともいえないですが、ここ日本。たとえば日本を宇宙と仮定してその宇宙にエーテルと言うものがあるのならそのエーテルと言うものはカレーでできていてもおかしくない。そんなことさえ考えさせられるような事件がしばしば起こるわけです。わたしの周りだけですか?
この日わたしはカレーを避けようとしていました。正直に告白します。そういう日もあるのです。わたしにとってそれはオフと言える日。たまには羽を伸ばしてカレーではないものを楽しむのです。がしかし。
焼肉が食べたかったのです。それもビールを飲んでつまみをつまんで焼肉をちびちびつつくと言うスタイルではなく、初めから白ご飯をがっつり用意し、肉をどんどん焼いては白飯とともに口に放り込むやりかた。そういうことをね、やりたかったんです。
そうなれば目指すはランチタイム。ロードサイドの焼肉店をチラチラと見ながらクルマを進めていました。道沿いにいいねマークの看板が出ています。あ、
「焼肉ライク」
か、そうか。焼肉ランチ気分のままその看板を見つけ吸い込まれるようにクルマを駐車場に入れました。
ご存知の方はご存知の「焼肉ライク」。
現在のテクノロジーで可能な自動化を割と出来る限りという感じで幅広く強く勧めているチェーン店です。これがなかなか面白い店作りをしていてね。カウンターがメインとなるホール。カウンターには時節柄隣の席とのついたてがあるんですが、それとは別にもともとの設備として向かい合わせのカウンターで向かい側の客と目が合わないように目隠しのついたてが初めから設置されています。お一人様歓迎の店としてメディアに取り上げられたのも納得がいくよね。
小さなコックピットのようなカウンター席はカウンターの奥にロースター、手前にはトレイを置くスペース、その下に引き出しが配され箸、ようじ、おしぼりがそれぞれ格納されています。タレなどの調味料類は正面衝立に棚をつけて設置されています。水のコップも一緒に置かれており回転寿司でお馴染みのコップを押し付けるタイプの水栓金具が付いていて。テーブルの袖にはロースターのスイッチ類。火をつけたり調整、食べ終われば火を消して立ち去るスタイルで、ロースター管理まで客に任せていると言うのは合理的で大変面白いね。
注文用のタッチパネルもカウンター席各個別に装備されていて、このカラーディスプレイがますますコックピット感を強くするわけです。これはもう焼肉のXwingFighterっていうか、焼肉のRGM-79ジムっていうか。タッチパネルで注文を進めていくのですが、はたと手が止まります。ああ〜カレー。
「焼肉屋のちょい足しカレー」
190円也。困ったけど、目に飛び込んだからには無碍にできない。注文を決めます。
「生ハラミセット」にごはん大盛り、キムチ&スープ、豚カルビ、ちょい足しカレーという構成となりました。
さてカレーだよ。いや、焼肉なのだけどカレーとなったよ。お肉は普通においしいです。まったく悪くない。すごいとか驚きとかではなく、心穏やかにこれでいいと思えるものでね。こういうのいいではないですか。2種あるタレも悪くないですね。ごはんにはごま塩とふりかけが用意されるのもね、まったく悪くない。
さて、カレー。
困ったことにカレーがなかなか旨いのだよ。うーん、これはどうしたものか。
ちょいと欧風寄りの方向で肉のビッツが見え隠れしています。まったく悪くない。悪くないのでごはんにかけて食べました。ああ、いかん。今回このシチュエーションでは白ごはんは焼き肉のためにあるわけです。カレーで汚してはいけないのです。
いつもの教訓を思い出します。
「カツカレーはご法度」
旨いカツと旨いカレーを組み合わせてはいかんのだよ。それはつまりそれぞれを別に味わうのが良いのであるよ。
うまいものでも1×1=1、なんだよね。急いでカレーがかかったライスを片付けて、焼き肉ごはんにペースを戻してやりました。
カレーはうまいのですすることにするよ。これもまったく悪くない。
なんだかよくわからなかったんですが、焼肉屋でのカレーは途中でなく締めがいいなという結論です。出来れば焼肉屋でカレーはなしでいきたい。それが本当の本音なのです。