カレーですよ4981(勝浦 スリランカ居酒屋デルシャン)勝浦スリランカ。

 

 

都市部の中心で生活なぞしていると色々な価値観が偏ると思っています。たとえば深夜にレストランを探すこともちょいとクラブで飲ん音楽を聴くことも自由自在。タクシーだって拾えるし、コロナ前と同じとは言いませんが、深夜をそれなりに楽しめてしまいます。

 

 

カレーですよ。

 

 

コンビニエンスストアひとつとっても地方でコンビニに「辿り着く」ことと都市部でコンビニを「選ぶ」とか「ハシゴする」ことは、やはり違う体験であり感覚が違ってくるのだと思うんです。どっちがいいとかじゃなくてね、感覚がズレるんです。

その日は19時過ぎ、128号線、海沿いを走っていました。外房黒潮ラインなんて名前がついている道です。そんな名前も虚しく祝日のこの時間帯、クルマはちっとも走っていませんし、真っ暗で海だって見えません。静かなものです。

快適なスピードとリズムで進んでいたJR外房線鵜原駅あたり。視界の隅にちらりと見えたライオンのデザインが入る旗に気がつきます。おや、それってスリランカ国旗。

まだ19時過ぎというのに漆黒の闇の国道128号線。そこにふわりと灯りが灯ってたわけです。瞬時にアクセルから足が離れます。スリランカレストランだな。本当は行こうと思っていた同じ道沿いのレストランを後回し。まずはここに入ってみよう。

 

「スリランカ居酒屋デルシャン」

 

という名前でした。

アメリカンエクスプレスの行灯が珍しくもなかなかかっこいい。おや、そういえば看板にはシャンデルの表記があったような。メニューにはデルシャンの名前。どっちだろうね。

外から見るとお店はちょいと薄暗くてやっているかどうか不安でした。この不安ってのも感覚のズレからです。都市部だとすごく強く灯りを灯して看板にスポットライトを当ててというのがほとんどです。特に繁華街は顕著です。多くの店がそうだから埋もれないようにみんな競うわけです。それに慣れると郊外に出た時にどの店を見ても「おや、やってるのかなあ、しまってるのかなあ、どっち?」となります。

繰り返しますが、どっちがいいという話ではありません。

そんな感覚のズレから「スリランカ居酒屋デルシャン」は初見では少し薄暗いと感じたんです。そういえば看板にはシャンデルの表記があったような。メニューにはデルシャンの名前。どっちだろう。

 

丁寧な物腰のスーツ姿のスリランカ男性が迎えてくれました。オーナーさんかしらね。ものすごく綺麗で流暢な日本語に嬉しくなります。レストラン業だけではなく貿易などやってらっしゃる空気を持っているな、と感じます。南アジアのレストランではそういう空気を纏った方にたまに出逢います。

日本の南アジアのレストランを長く食べ歩いたりしているとなんとなくわかるようになりました。

お店はロードサイドの落ち着いた感じのレストランという感じです。インテリアはシンプル、シック。ニッポンの南アジアのレストランにありがちな、隅にだんだんと溜まっていく荷物や余計な煩い調度品もなく、気持ちよく快適な環境。聞けばまだ開店して2年経っていないそうです。コロナ禍でのオープン、大変であったのではないかしら。

ディナーセットメニューということで、

 

「スリランカカレーセット」

 

という親しみやすい名前のセットを頼むことに。コーラもお願いしました。

まずはサラダ。メインディッシュとは別皿で、日本の南アジア料理店の標準的なものが出てきました。とはいえ色合いも良くきゅうりなどのカットや盛り付けにコック氏のこだわりを感じるもの。ドレッシングはごまドレッシングでした。これも標準的です。

メインディッシュはチキンカレー/ククルマス。これも別皿提供です。辛さは控えめに仕上げてある(調整ができるそう)もので、香ばしいかおりと旨味強いチキンカレーでありました。美味しいです。

 

ごはんのお皿はおかずも一緒に乗ったホームスタイルの盛り付けです。日本人はどうもお子様ランチスタイルが好きなのですよ。御多分に洩れずわたしもそう。なので大皿ひと皿にいろいろなものが盛り付けてあるとちょっと嬉しくなるわけです。

この話でオーナー氏と楽しく盛り上がったんですよ。日本人はなぜかひと皿盛りを喜ぶこと。もしかすると幕の内弁当の文化、たくさんのおかずが少しずつ入るスタイルが人気の根源かも、などいう話で盛り上がって楽しかったな。

魚が入る丸いコロッケ、コートレットが大変な美味しさ。香り、味、食感、100点満点です。これは素晴らしい。インゲン/ボーンチの炒めものもとても好み。いいおかずです。

汁気の多いものがもう少しあるとより食べやすかったかな、と感じました。とはいえ言うことなしだったなあ。お腹いっぱいです。

食後に紅茶とデザートがつきます。デザートはワダラッパン。ああ、なんとうれしい。オーナー氏に思わず「世界3大プリンはイギリスのカスタードプディング、タイのカノムモーケン、そしてスリランカのワダラッパンだよ!」など興奮して熱弁(個人的にそう決めている)、それくらい、突然勝浦のレストランで出てきたワダラッパンに感激した、ということです。

紅茶、香りよく大変においしいものです。ティーバッグスタイルでモダンなんですがそんなことが気にならないほどおいしい、いい紅茶。オーナー氏は紅茶とスパイスの輸入も手がけていらっしゃるそうです。デルシャンブランドの紅茶はオーガニック。大変良いものでした。ああ、うっかり買い忘れてしまったなあ、ちょっと後悔しています。

楽しい良い店でありました。紅茶を買いに今度はランチに出かけてみよう。

昼間なら海も眺められるもんね。