カレーですよ5043(神田駿河台下 カーマ)さよなら、カーマ。

よく思うことがあるのです。果たしてわたしはこの行列に並ぶ資格があるのか、ないのか。

 

 

カレーですよ。

 

 

わたしは行列がとても苦手。食べるもので行列、隣に他のレストランもあるのに行列、というのには正直ナンセンスを感じます。そういうわたしが一念岩をも徹す、の想いで並ばざるを得ないと判断する時も稀にあるわけです。とても稀です。

お店の閉店。たくさんの理由があると思うのですが、それは店の内側の話し。

閉店の時に人が殺到するという事象が多いと感じます。他の方の考えは尊重しますが、そういう時にわたしはこう考えています。そのお店を応援する自分の力が足りなかったという腹立たしさ、もっと通っておけばという後悔と共に最後にお邪魔させてもらえる資格が自分にあるか、と自らに問うんです。問うて答えがあるわけでなし。だから基準を決めています。そこの常連さんには最後の席を譲りたい。これが大前提。が、自分にも最後の席をもらう資格がどこかにあるのではないか、そこを軸にぐるぐる考えます。そうやって腹を決めて並ぶんです。

お茶の水の、

 

「カーマ」

 

わたしは自分で常連などとても名乗れませんが、学生の頃から度々食べにおじゃまして、ブログを書き始めた初期の頃もそのあとも何度となく食べに来ていました。それだけに思いもあり、閉店の2日前にやってきたのです。この暑さの中での混雑を恐れてか、行列1時間などにはならなかったのは幸いでした。運とタイミングが味方してくれました。

閉店前前日、その当日に限って言えば、12時20分着で外で6人待ち、行列に付き、体感20分ほどでの入店。食べ終わりお店を出て12時45分で10人待ち、テーブル席は相席なれど2名づつ使用、というところでした。思ったより抑制が効いていて助かったよ。店内に閉店の知らせを張り出してありましたが、そこにSNS等での拡散をやめて欲しい旨が書いてありました。良いお客たちがそれを守って、その効果かもしれません。いや、全てタイミングだね、きっと。

うれしい特等席、カウンターの手前端、レジ前に席が取れました。

注文は言わずもがなの、

 

「チキンカレー」

 

です。

鶏の旨みがカレーソースに回っていて、辛いけれど尖らないあの美味しさ。その辛さはスパイスからのびりっと辛口のもので頭のてっぺんから汗が出る気持ちよさ。ジャガイモの半割がいつでもとてもうれしい。チキンがなんというか独特で、あれはかなかな表現が難しいんです。やっぱり好きなやつ。

さらさらですぐ食べ終わってしまうんだよね。食べ終わるのが惜しくなるのはいつもの通り。口中の後味、残り香まで美味しい、美しいカレーです。

テーブルのアチャールも忘れてはいけない。アチャールを置く店が好きなんです。食べ比べて頭の中でそっと楽しんでいます。

カーマのタマネギアチャールはしんなり目でカット大きめ、これがいいの。あまり酸っぱくはしていなくてチキンカレーと合わせた時のタマネギの旨みとのコンビネーションがなんとも好みです。

今日も、ですが。いつも、ですけど。今日こそ本当に食べ終わるのが心から惜しかったな。その味を舌に焼き付けようと躍起になっていましたが、舌は、記憶は、所詮それだけのもので体験には敵わないものです。しかし食べることによって、香りを嗅ぐことによってシナプスがつながり記憶が蘇ることは多いのです。だから、一所懸命記憶します。最後のスプーンは、とても大事なひとくち。

きっといつかまたカーマのカレーはどこかで生き返ります。その時にこの日のことを懐かしく思い出すのだろうな。