結局早々に取材として1週間と空けずに町田に戻ってきてしまったんです。とても良い流れだと思うんだよ。少し気恥ずかしくもあるかなあ。
それはつまり、素のまんまで感激してしまったから。
カレーですよ。
いまや町田でカレーとくれば一択、日本一のカツカレーでテレビでもお馴染みのあそこ。町田仲見世商店街の細い通りのその股裏に入ったカニ歩き必至、みたいなあそこにあるお店。
あたしのカツカレー嫌いを一瞬にして吹き飛ばしてくれた(だからこそカツカレーにはうるさい。生半可なやつやトンカツカレーは未だ馴染まないぞ)あの店、
「リッチなカレーの店 アサノ」
のこと。
現役の二代目浅野マスターが元気でやる気も覇気も十分なわけで、まだもう少し先の話ではありましょうが、飲食店の理想的な世代変わりの光景を想像できてしまったんだよね。本当に、実に理想的なのです。
たまたまなんですが、わたしは町田の「アサノ」の先代時代を知っています。先代が厨房に立っていたのうっすら覚えているんだよ。実を言うと、二代目、現店主が作ってくれたカレー体験がほとんどなわけですが、それでも貴重な体験だったと思っています。そして今、三代目がカウンターの中でカットレットを揚げているんだよ。興奮せずにはいられない。なんとも言えない嬉しさ、幸せを感じるのです。
思い出話しだったら、そうだなあ、引退した先代が店前の行列整理していたところに出くわしたこともありました。確かブログにも書いたはず。あれはとても嬉しかったよなあ。まさか店で引退した先代にお会いできるとは思っていなかったから。そんな思い出もあって、町田の「リッチなカレーの店 アサノ」にはちょっと特別に思っているところがあるのです。
カツカレーが苦手なわたしをカツカレーにも良いものがあるんだよ、と教えてくれて興味を持つきっかけを作ってくれたのが「アサノ」なのです。とはいえ別に「日本一のカツカレー」だから通っているわけでは全然なくてね。2代目店主、浅野さんの人柄がとても好きで、そういう理由で細く長く通っているのです。
いろいろ書きましたがもちろん、カツカレーは最高なのです。いや、チキンカレーもいいんだよね、すごくいい。でもやっぱりカツカレーということになっちゃうと思う、このお店は。
まず、とんかつではなく、カットレットであるところが大変に正しく好ましいんだよ。カツカレーの元祖話はいろいろあるんですが、わたしの好きなストーリーはスイス。洋食レストランである銀座スイスのおはなし。当然ながらトンカツ屋ではなく洋食であるからして、カットレットがメニューにありました。
それを土台にしたカツカレー。これが正当だと感じているんです。だからわたしの中ではとんかつカレーとカツカレーは別のもの。厚みのある豚カツが乗ってるやつはトンカツカレーなのです。そこはいつでも意識するようにしています。
取材は楽しかった。すごい楽しかったよ。原稿には書かないお喋りがなにより楽しかったなあ。
「はぴいさんがコーディネートしてくれたテレビの撮影が一番反響があったんだよ」と浅野さんに言われて心底嬉しくなってしまった。大事に思っているお店に恩返しができたのかもしれないなあ。そういうのが結果として本人から聞こえてくるとますますそのお店のメシが旨く感じるわけです。
しみじみと、旨かったなあ。