カレーなしよ(栃木塩谷町 とんかつ ステーキ篠)とにかくすごいうまい。とにかく。

とにかく仕方がないのです。まだカレー2食を連食でおなかがけっこうな感じで膨れているというのにお店に入ります。素通りなんてできるはずもないのです。この場所、このお店は世界で唯一なのだから。鬼怒川沿いにある、洋食店です。

 

 

カレーなしよ。

 

 

そちらも大変気に入っている、そのお店のすぐ近くの温泉旅館の日帰り風呂「川霧の湯」。セットで楽しむんです。

 

いつものコースってやつです。

 

「とんかつ ステーキ篠」

 

というお店なんです。

まずは「川霧の湯」。鬼怒川の川沿いにある温泉宿なんですが、鬼怒川温泉街より手前、鬼怒川がまだ渓谷になっていない幅広の河原を流れるあたりにぽつりとあります。本当に周りに何にもなくて、細い道沿い。で、名前の通り本当に川霧が頻繁に出るようです。

崖を背に崖を沿うように建っている温泉で、道路脇、崖の上なんですが、そこには小さな屋根と階段があるだけ。母屋は崖の中腹にあります。

大変快適なリバービューのこじんまりした露天風呂で、とても気に入っているんだよ。

 

崖を背に崖を沿うように建っている温泉で、道路脇、崖の上なんですが、そこには小さな屋根と階段があるだけ。母屋は崖の中腹にあります。

大変快適なリバービューのこじんまりした露天風呂で、とても気に入っているんだよ。

 

で、お風呂でさっぱりした後は、「とんかつ ステーキ篠」に向かいます。クルマでわずか1分という所。

そこの、

 

「にんにく焼き / ポークソティー」

 

というメニューに惚れ込んでいるのです。

まず、サラダがね、いい。何気ないサラダですが、きちんと作ろうという気概が見える意匠を持っていると感じます。とてもいいね。メインディッシュの価値を高めるようなサラダです。むずかしいものではないですが、ウェルカムな感じが透けて見える。こういうのはうれしいよねえ。

 

さあ、お肉だ。

すごいぞ、鉄板から濛々と湯気が上がり、ニンニクソースと肉汁がじゅうじゅうと泡立ちます。うひゃ〜!!

肉、ポークの厚切り(極厚切りだ)の上にはニンニクソースをかけてあり、ニンニクのすりおろしが肉の上に残ります。照りが眩しいねえ。たまらないねえ。付け合わせも王道から外れない、インゲンとフライドポテト。納得です。

表面カリッと仕上げで肉自体はサクッという食感。厚みがあって、ものすごい肉というのとは違う、程よいいい肉を腕とセンスでその価値を何倍にも高めるような、そういう調理調味を経た味。こういうのがいいよね。これこそ価値です。

高い肉なら仕入れと値付けでどうとでもやれる。そうではなく、腕とセンスで素材の価値を上げていくんです。そこは職人さんの仕事、価値を引き上げる仕事なのです。そういうのが見えます。かみごたえちょうど良く、こういうのは本当に素晴らしい。

お値段格安、なのにすごい厚みのデカ肉をうまいソースでどかっと食わせてくれるわけですよ。たまらんです。しかしおかしなデカ盛り店のような下品さは一切なく、上出来の正しい洋食メニューに着地させてあるところがね、素晴らしい。なんというバランス。まったくもっていうことがないぞ。

食べると頭がバカになるのです。それくらいおいしいの。もうね、ニンニクのお汁がうますぎて勿体無くてダムを作って掬い上げようとするんです。しかし、フォークで。スプーンが手元にないから。でも諦めないですくおうとするんです。ほらね、バカになってる。頭が悪くなっているの。そういう中毒性が、この「にんにく焼」にはあるのです。

けっきょくフォークに白メシを乗っけてそれを汁に浸して素早く口に運ぶことになります。これが一番よさそうだな。スプーンを頼んではいけないんです。恥ずかしいから。うまいものに頭をやられつつも最小限の意地や面子を保つためにスプーンが頼めない。それで、フォークで汁をなんとかしようと道化として空回りを続ける。それすら快楽の一部分と感じてしまうのです。やはり、バカになっているようだ。若しくは宗教がかってると言ってもいい。

お風呂の後にニンニクたっぷり、はナンセンスかもしれないですけど、無粋な歯磨きでこの余韻を消してしまうのは惜しいんだもの。だからこの順番でいいんです。どうせ深夜部屋に辿り着くまで人には会わないのだからね。

ひとり小さなテーブルで至福に打ち震えていると、奥の座敷からお客が帰り支度をして次々と支払いにやってきます。皆地元の家族や仲間のようで、店主や奥様に話しかけ、和やかな空気になります。

こういうものをよそ者としてそっと気配を消しながら窺い、その楽しげな空気をお裾分けいただいて、さらに充足するのです。代え難いものがあるよ。

本当にいいお店。

邪魔にならぬよう、たまに行ってはまたそっと楽しもう。