カレーですよ5262(南流山 クルトワ)絶品の洋食カレー。

すごいおいしいカレーだった。驚いた。洋食レストランで出会いました。知っている欧風ではない、洋食屋さんの懐かしいあれでもない、すごくおいしいやつ。

 

 

カレーですよ。

 

 

「カレーというものはなんなのだろう」という疑問、思索はいつでもあります。「カレー」ではなく「カレーライス」のことなんですが。「カレー」というものは概念であり「カレーライス」はカレーライスそのもの、そう考えるとわかりやすくなる、そんなことを思う最近です。

そういう中でやはり逃れられないニッポンのオールドスクールな「キイロイカレー」というもの。未だあそこをベースにしてものを考えるわけです。まだそういう時代がもう少しだけ続くと考えています。

もうすでに「チャイロイカレー」がスタンダードと考えてもいいのですが、「チャイロイカレー」を語るとき、そのルーツにはキイロイ、、、という言葉がまだ入り込む余地があります。それも消えてなくなって初めて次のスタンダードとして「チャイロイカレー」が土台になる日が来ると思うのです。ただし、これは現場の話ではなくやっぱり概念とか議論の上でのこと。

そういうものの中で、スタンダードと言えるような「カレーライス」のなかで、たまに特異点的なひと皿に出会う時があります。胸がときめき、血流の流速が上がるんだよな、そういうすげーやつ。南流山、なんて場所でそういうひと皿に出会ってしまったよ。

 

「クルトワ」

 

という洋食のレストランでのこと。

例によってたまたま通りかかり、縁あってお店に入りました。もう少し言うと、じつはアテにしている店があったんですけど(それもその場しのぎで検索した店なんだけどね)そこに向かう途中にたまたま「カレー」の文字が入ったのぼりがはためくのを見かけて、しかも建物の裏に駐車場らしきスペースも見えたんです。その上ぼちぼちカレーのディナータイム限界点を超える時間帯に入り(カレー専門店は夜が早いのです。タイレストランなどは比較的遅めだけどね)、判断をあやまると松屋行きとなる故、急遽行先変更という流れ。大当たりを引いたのでした。

いくつかあるカレーライスのアーキタイプというものが存在します。すると思っています。

ざっくりいくよ。さっきのは概念、これは現物の話。

カレーライスには2種、黄色と茶色があります。黄色がスタート。そのあと茶色が広まって。赤とか緑はその後、黄色と茶色の下に編入してきたものです。外国生まれが多いよね。外国生まれを真似してできた、さらにその下にぶら下がる日本生まれのものもあります。

味としては西洋出汁を使ったものと和出汁を使ったものに分けられるかもしれません。そのなかでも甘味を土台にするのものと塩味を土台としているものも並行してあるのでそれも分類。これらが組み合わさってカレーライスの一軍をなしていると考えています。あくまでもざっくりだからね。

そして、そう言うスタンダードなものの中に突然変異的にどこに入れようか迷う、しかしその芯には間違いなくカレーライスの魂が宿る料理が現れるのです。今晩のディナーのカレーライスのこと。

 

「地養鶏の欧風自家製カレー たっぷりチーズ乗せ(ドイツ産)」

 

です。

まず、ごはんがきちんとおいしい。甘味、控えめの粘り、艶。うーん、素晴らしい。洋食のレストランで美味しいごはんに当たる確率が高い気がするんだよな。

そしてカレーソースをひとくち。その味に痺れました。

とにかく舌が喜んでいるんです。甘うまい土台はしっかりと揺るぎなく、とけてスジになった肉からやってくる幸せな旨味は海の如く深く、口はそれほど辛くないのに刺激がぐいっと楽しいスパイス遣い。ああ〜おいしい。特にこの香り、青々しいローレルかしら、洋食の香りづかいらしさある爽やかさで全体を重く感じさせないんです。ああ〜素晴らしい。

チーズがこれもまた特筆。わたしは正直に言うと、カレーにチーズを合わせることを馬鹿にしているところがあるんです。そのはじめから約束された旨味やコク。ある程度必ず旨くなるに決まっているじゃない、安いものを使っても。しかもバランス悪く使うとあんなに強いカレーの味や個性を喰ってしまうんです。だからそんなものはいらない、ごまかしだっていつも思っていました。ここではその論理は通用しなかったな。

チーズはドイツ産。熱でとろけてごはんとカレーを包んでいますが、プロセスチーズのあの冷たい感じ、体温感じぬ工場から来たという感じがまったくないんです。牧場生まれですよ、という朴訥かつクリーミーでフレンドリーな香りと味わいに牛の体温まで感じさせる感があります。うわあ、これは困った。顔がニヤける。驚いた。酸っぱすぎず、まろやかで、かといって頼りなさは皆無。水を飲むことさえためらってしまうくらい、その味に後ろ髪を引かれてしまったよ。

ホールに来てくれるにいさんも最初はちょいとコワモテ、など思ったんですが丁寧で素早い対応。メインのシェフと対でテキパキと仕事を進めてくれるのが気持ちいい。シンプル、清潔な店内は快適です。どう考えてもカレーひと皿で終わらせてはいけないお店だな、と思い知ります。

 

こりゃあ他の料理も早々に、必ず食べに来なければいけなくなったな。