【コラム】山奥でヒッチハイカーを拾った話し(陣馬山 和田峠 陣馬街道・富士山展望地)こういう時に恩返し。それとポラロイドの使い方。

なんか、おもしろかった。ヒッチハイカーを乗せたのです。しかも山んなかで。まさにハイカーだったのであるよ。正確にはヒッチハイカーというのはちかうかな。道を間違えた二人を山の中で救助した感じです。

 

最近気に入っている、近場でなかなかに楽しいクルマで峠越えをするコースがあります。最終的にはこれまたお気に入りの町、上野原に出るルートです。高尾から相模湖あたりなんだけどね。その裏側。上野原に行くなら甲州街道一本、高尾、大垂水峠を経て相模湖、上野原が通常ルートですよね。

最近のわたしは西八王子まで出て甲州街道から外れます。ご存知の八王子、荒井呉服店(松任谷由美さんのご実家)を通り過ぎて甲州街道を外れこれは都道かな、521号、陣馬街道を夕焼け小焼けの里へ向かいます。イメージは甲州街道から見ると東京を背に高尾山を右手に挟んでその向こう側の道、裏高尾という感じでしょうか。

「夕焼け小焼けふれあいの里」は野外レクリエーション施設。トイレを借りたり休憩したりします。そこを通り過ぎるともう山の中という風情。峠の細道をくるりくるりとこなして楽しみ、いつもの和田峠の頂をいつものようにスルーして、その少し下の陣馬街道・富士山展望地へ到着。ここがひとつ目的地です。

 

本当の名前は知らないんですがGoogleマップに「陣馬街道・富士山展望地」とそういう名前で出ています。古い木のベンチが1脚だけぽつりとある場所でね。天気がいいとその向こう側に富士山が見えます。下の写真がそれ。この木の向こう側に富士山。この日は霞んでいて見えませんでした。

偶然見つけた、条件が良ければ富士山がよく見えるちょっと一息つける場所。道端もいいところなのであまりいろいろしたり長居しちゃいけないと思ってます。あくまで路肩に寄せる形なのでね。ベンチもハイカーさんたちに向けて作ったんだと思いまうs。

ちょいとシートベルトを外してリラックス。麓の町で買ったパンなんか食べてね。ピクニックですな、これは。快適快適。それで、おなかもちょっといっぱいになって、気づけば居眠りをしていたようです。何分ぐらい寝ていただろうなあ。

なんとなく気配を感じて薄目を開けると西洋人のハイカーが窓越しにわたしに話しかけています。おっ!と思い「こっちの耳は聞こえづらいので」と声をかけてクルマを降りました。

二人連れの肌の白い若者でした。女性は綺麗な金髪。2人ともハイカースタイルです。聞くとどうやら道を間違えて山を降りてきてしまったらしい。高尾からだと言っていたので、高尾山〜陣馬山の縦走、多分陣馬高原のバス停に戻りたかったのじゃないかしら。和田峠の頂から逆がわに降りてしまったということだと察しました。

今から引き返しても多分バスにはぜんぜん間に合わないだろうなあ。山のバスはいいところ1時間に1本くらい。しかも16時前に終わってたりするからね。当たり前だよな、山だから。

「もしよろしければどこか交通機関のアクセスがある場所に連れて行ってくれませんか」と。そりゃ一も二もなくお連れしましょう。それというのもわたしもここでのんびりしたら、いつも通り上野原駅の目の前のいちやまマートに立ち寄ろうと思っていたから。目的地まで峠をくだってだいたい20分強。ついでもいいところだよ。そんなの乗せてあげるに決まってます。そして彼らに道だけ教えてあげたとすれば、間違いなく途中で日が暮れる。そればダメだからね。

それでちょいと荷物を後ろに押し込んで2人を乗せてぶらぶらと山を下りました。上手な日本語を話す彼はロシアの出身、28歳。どうやら吉祥寺のあたりに2人で住んでいるらしいです。吉祥寺と西荻窪の話でひとしきり盛り上がったり(西荻窪に15年くらい住んでたことがあったからね)おじいさんがグルジアの生まれだなど聞いたりとても面白い。

 

例によって地域の食の話を聞いて、国境あたりの食事情などを興味深く聞かせてもらいました。あっという間の20分。駅に到着。すごくうれしそうにしているのをみてわたしもホッとしました。彼らはこのまま中央本線に乗れば無事吉祥寺に到着となるわけです。よかったよかった。ほっとしたよ。

いつも本当に色々な人から親切にしてもらっているわたしです。本当にびっくりするくらいたくさんよくしてもらってる。だからこういう時はね、お助けしないとバチが当たるから。むしろ嬉しかった、こういうのがめぐってきたこと。誰かの役に立てたこと。

 

別れ際にクルマに乗せてあったポラロイドSX-70で2人をスナップ。奥様がすごくうれしそうでカメラに興味津々でした。2枚撮って一枚を彼らに渡しました。「15分後に写真が出来上がるよ」と伝えてさよならをしました。ポラロイドカメラってこんなふうに使うと喜んでもらえるしかっこいいよね。

果たして15分後、ああ〜これだ(笑)。ああ〜また白飛びだ。

でもいいんです。彼らもきっと帰りの電車の中で笑ってくれたでしょうから。