クルマを走らせていると、視界に「ビーフカレー」という黄色い文字が飛び込んできたんです。当然のようにフルブレーキングからアクセルを吹かしてサイドブレーキを引き駐車場に飛び込んだわけです(ここのみフィクション)。
カレーですよ。
日頃からカレー動体視力は常人の三倍と自負しています。しかし回転寿司のインドマグロやエスカレーターはこちら、などいう案内表示までもれなくカバーしてしまうのにはいささか困っているのです。
さて、ビーフカレーを前面に打ち出した看板、大変楽しみなんであるよ。それというのもどうも昨今、ビーフカレーと言うものの立場がないから。世間はもう少しビーフカレーに優しくしてあげてほしいんだよ。
昔はカレーとくれば、ビーフカレーがその真打だったでしょ。そんな時代をはるかに過ぎてどうにもビーフカレーの扱いが雑になっているような気がしてならないんです。ビーフカレーはご馳走。ビーフカレーは憧れ。ビーフカレーは、そうあらねばならないのです。
さて、飛び込んだこのレストラン。
「Tree / ツリー」
といいます。
偶然も良いところで飛び込んだわけですが、なかなかに見所の多いお店でおもしろかったよ。
まずこのお店、よく見るとトレーラーハウスではないかしら。作りといい高さといい間違いないな。面白いのはそのトレーラーハウスにデッキを造作してあるのですが(これはよくみるよね)、そこから橋のようなものがななめ上に伸びているんです。なんだろうなあ、とその先を見るとなんとツリーハウス。ツリーハウスへのルートになってました。こりゃあすごいなあ。
キョロキョロと見回すと、畑があったり柵に囲われた広っぱがあったりします。敷地、広い。この広っぱはなんだろうなあ。そう思って目を凝らすと、あっ!なんと馬がいた。馬を飼っているカレーやさんは初めてだぞ。うわあ、馬、かわいい。近くに来てくれないかなあ。
さてと、お店に入って腰を落ち着けて、注文。迷わず
「ビーフカレーセット」
にします。セットだとサラダと飲み物がつくみたい。カレーは国産黒毛和牛のスネ肉を使っているそう。
のんびりカレーの到着を待ちます。
店内のインテリア、カウンターの中のオーディオやテーブル、イスのチョイス。そこここにこだわりとセンスが滲み出ていて気持ちのいい空間です。
さてまずはサラダがやってきました。サウザンドレッシングがちょいと量多めかなと思いましたがドレッシング、ちょいとピクルスのいい感じの風味など感じられてコールスロー的に混ぜるとちょうど良い塩梅になりました。うん、いい、おいしい。
さあカレーだよ。セパレートでごはんのお皿とソースポットでやってきました。
ビーフカレー、いいな。いいぞこれ。おいしい。よくぞここで止めてくれた、という甘み方面の寸止め感。甘味はもちろん感じるんですが、甘ったるくしない落とし所の絶妙な選択。ああ、これ大人っぽい味の決め所だね。いい感じだねえ。タマネギ焙煎からの食感でしょうか、よくある焙煎タマネギよりも少しオクラなどのような舌に粘る食感が個性的。
肉、多い。多いぞ。大きなビーフのかたまりが4〜5個入ってます。これはなかなかにたまらない。ほら、よくレトルトカレーやポスターやらなんやらのザ・ビーフカレーのイメージ写真があるでしょ。あれそのままって感じの角切り牛肉ゴロリなうれしさ。ビーフを楽しむビーフカレーだな、これは。これでこの値段は良心的すぎです。
福神漬けの相性がとてもいいのも特筆。良い選択の福神漬けです。タマネギの酢漬けも納得がいく味で。つけあわせが美味しいととてもうれしいのです。
タイミングが良かったようで、食事を始めるまではひとりでした。お客がいなかったのでのんびりできたよ。カレーを食べ進めるうちにその後どんどんお客さんがやってきて7割ほど席が埋まってました。人気のお店なんだね。わたしが入った時はちょうど凪の時間だたわけだ。よかったよかった。
ちゃんと料理がおいしくて、なおかつ馬がいるですよ。テラスとツリーハウスもあるし。行ってみる価値があるよ。