カレーですよ5318(六本木 ニルヴァーナニューヨーク)紡ぎ続いてゆくご縁の連鎖。

大変楽しいご縁が繋がっていきます。大事にしていたものがさらにつながるこの楽しさと必然。わたしのとても大切に思っているレストランに、参加しているビジネスチームの面々が集まりました。

 

 

カレーですよ。

 

 

そもそもちょいと失速気味であった少し前のわたしにチャンスと進む力を注いでくれたのがそのチームメンバーの村上さん。

久しぶりになっていた、「ニルヴァーナニューヨーク」。そのオーナー、ウォーレンさんとの再会を偶然にも作ってくれたのです。あれは驚いたよなあ。すごくうれしかったなあ。

そのあとに同じく仲間のベリーさんが尻を叩いてくれてのニルヴァーナランチ。これは朋友である池田美樹ちゃんも一緒でとてもたのしいひと時でした。そしてまた別日、気づけばウォーレンさんの奥様が別件で村上さんとデジタルキッチンにいらっしゃった。その集まりの帰りにウォーレンさんが奥様をお迎えにいらっしゃったそうで。そうか、ってことはウォーレンさんがデジタルキッチン見てくれたんだね、うれしいねえ。わたしはその時はすれ違いだったのですが。

そしてこの夜、信頼を寄せているチームのメンバーが

 

「ニルヴァーナニューヨーク」

 

のテーブルに勢揃い。なんとも胸が熱くなります。

厨房を率いる若き才能、引地翔悟シェフも張り切ってくれました。素晴らしい味とプレゼンテーション。あらためてこのレストランのパフォーマンスを思い知る思いです。わたしの大切な仲間がこの店を知ってくれる嬉しさは例えようがないものがありました。

サラダから始まるこの夜のストーリー。

じめっと蒸し暑い夜の空気をかき消す爽やかなひと皿でした。柑橘系の印象残るドレッシングと柘榴の扱いがおやっとおもわせてくれる楽しいサラダです。

焼き物のミックスはいかにもインド料理でうれしくなります。しかしそれだけにとどまらないプレートなんです。マリネードのしっかり加減と素材の味の拮抗が楽しいもの。魚は甘味を抑えめにしたマリネードで鶏むね肉を思わせるみっちり身が詰まった感とそれがほろほろとほぐれる感激の仕上がり。うむ、これすごい。

タンドリージンガはいわずもがなのおいしさ。エビの美味しさ問答無用。チキンはティッカに仕立ててありました。これまた実に旨い。

お気に入りはナス。タンドール調理を経た野菜の力というのはなかなかどうして、肉を越える驚きをくれたりするんだよ。遠赤、蒸し焼きの力と野菜の力、思い知る感があります。野菜だけのタンドール調理のプレートも食べてみたいな。

タンドール料理のあとのお魚のひと皿、これ驚いた。これあれだぞ、インドサバ味噌。そんなことを言いたくなる面白さがあるんですよ。

焼き鯖がメインとなるこの料理。豆の使い方が面白くて夢中にさせられました。焼きサバの下にダールが敷いてあるんです。初めはジャガイモのマッシュかと思ったんですよ。西洋料理でよくある手法でしょ。しかしここはインドレストラン。豆を使った粘度高めのソースに近い、繊細なものが鯖の油を受け止めます。

ああ〜なるほどお。これにはまいったな。インド料理であり、しかし和食のニュアンスがあって、さらに西洋料理のエッセンスも感じます。すごい、すごい。なるほどこれがニルヴァーナニューヨークの「今」なのか。うっとりさせられました。

ビリヤニは運ばれてきた時に米とサフランの香り高いにおいで顔の周りが包まれたあの体験はすごく印象的。うわ、すごい!と声が出てしまうます。それがテーブルに置かれると香りがスーッと落ち着くのも面白い。いや不思議だ。こういうのはじめてかも。穏やかめの味の調整にミント使いと柘榴のエレガントな香りが乗り、これもまた驚きあるひと皿。おいしい。

 

さあ、カレー3種。

もうね、言葉もありません。ニルヴァーナニューヨークのカレーには共通したところを感じるんですよ。旨み太く香り繊細にして華やか。もちろん個々の個性はあるんですが、なんというのだろう。ニルヴァーナニューヨークの味だね、と納得できる背骨のような太い流れのようなものを感じます。

もちろん引地シェフの腕もセンスもあるわけですが、ニューヨーク、マンハッタン経由でやってきたところになにかソウルのようなものが隠れている気がしてならないんです。インド亜大陸周辺料理が現地からそのまま来たのではないところに秘密があるに違いない。そうおもっています。

バターチキンは思わず素で「うんまい!」と小さく声が出てしまったよ。思わず笑顔が出てしまう美味しさ。バターの風味がよくあるものと違うと感じるのもおもしろいんです。そしてこの甘さと旨み。これはもうデザートに近いのではないかしら。そんな馬鹿な言葉さえ浮かんでいます。いや、そうだよそうだって。王道の構成を素材と作り込みで大きく高くアップデートしている感があります。

サーグはきちんと葉物野菜の風味残るバランス。えぐみなく、しかし緑のものの青々しい風味がきちんと残してある秀逸な作り。クリーミーで後を引く味です。引地シェフ曰く「実はもうひとつのシグネチャーディッシュと言えるポジションなんです。」と。なるほどそうか。納得いくぞ。

ベイガンはトマトベース。チリの、辛さではなく風味のほうを生かしてあり、味玉ねぎの甘みと食感も残すという着地。好感持てるインド料理らしさ強いものでした。これ、好きです。インド料理らしさが強いと感じます。

 

チーズナーンも強烈に美味しかったなあ。これもバターチキン同様、中毒性高いチーズと蜂蜜のコンビネーションであま旨い方向のもの。ピスタチオ使いがまたセンス感じるアクセントです。こういうのはあぶない、たまらない。何故か頭の中に「ニューヨークチーズケーキ」というキーワードが浮かんだのはおいしすぎてちょっと感覚が麻痺していたからかもしれない。なんか、おやつ、いや、おやつじゃあボリューム大きすぎるか。とにかくすごいです。

そうやって最後にどすんと手応えあるものが来たわけですが、それを鎮めるように上品なクルフィが締めでやってきました。エレガントなエンディングです。細胞のひとつひとつに「おいしい」が染み込んだようなディナーだったなあ。

 

よくまあこれだけ書けたものだ、と思います。自分で(笑)。なんの話しかというと、料理のそれ以上に仲間たちとのコミュニケーションが濃かったから。食事のリポートを書く時はだいたい一人で出かけるんですよ。人と一緒だとそっちが楽しくなっちゃって味そっちのけになってしまうからね。いつもそう。ひとが好きだから。

しかし、なのに、きちんと自分のなかに味や体験が残ったのです。仲間とのおしゃべりが濃かった以上に印象に強く刻まれる食事であったからに間違いないな、そう感じています。

なにか新しいプロジェクトがここから始まると予感しています。ニルヴァーナニューヨークのウォーレンさんと引地シェフともなんらかのコラボレーションができるかもしれないな。単純に料理だけという話ではない、もっと違う角度だったり奥行きだったりがあるもの。

そんな気がしているんです。