古い記憶などというものははあやふやなものなのです。本当に昔もこうだったのか?こういう味だったか。肉団子、こうだったか。たくさんのカレーを経験してきたからこそ、迷います。
カレーですよ。
カレー食べに行くんですが、その前にカレーとかよくあるわけです。もちろんそういう心と胃袋の余裕がある時だけですが。市ヶ谷にカレーの用事ができました。市ヶ谷とくれば麹町の「アジャンタ」まで歩いてみたり、夜ならば「牧谿」で飲むのもいいでしょう。
スタンダードなカレーライスだったら、
「カレーの王様」
久しぶりだなあ。ずいぶん頻繁に食べていた時期があるんですよ。おおむかしの話しです。
わたしが飲食の現場仕事、焼き鳥の現場仕事をするようになったのは大手町でした。昭和の前半からそこに立っている、大きな古いビルの天井の低い地下街にある焼き鳥店でした。その向かい側に「カレーの王様」があったんですよ。
たとえばタイムマシンで何十年遡ろうともいつも必ず絶対的にカレー好きのままのわたしがいるわけです。その当時だったら大手町界隈を探せば「カレーの王様」に狂ったように執心していたわたしがいるはずです。
さて、この日食べたカレーは、
「復刻版 王様カレー」
ただもう2024年に食べる正しくクラシックなカレーライスとして悪くないものです。
ニッポンの洋食カレーとしては香辛料強めで印象に残る感じがあります。カルダモンや胡椒の香りが強い、かな。いやまったく悪くないよ。
しかしあの王様のイラストとロゴを見るにつけ、あの時のあれは、あの味は、果たしてこれなのか、と思ってしまうのです。
人はそういうのをノスタルジーと呼ぶよね。