8月中に、という懸案事項、ギリギリだったが間に合ったなあ。年に1か月だけ開館する博物館が河口湖にあるんです。そこに行きたかった。施設の名前は、
「河口湖自動車博物館」
同敷地内に付随して「飛行館」という施設があって、今回はそこが目的。自動車博物館がメインなんですが、そっちも魅力的なんですが、今回はニッポンのウォーバードをよくみてみたいというテーマで来館。来年は自動車博物館にも来ないとね。
今回の目玉はレストレーション途中の太平洋戦争時に開発、使用された高速艦上偵察機「彩雲」11型という飛行機。海軍機最速と謳われた機体です。これが見たかった。
「我ニ追イツクグラマンナシ」
の無電で有名な機体です(正確には「我ニ追イツクテッキナシ」だったかな?)。
レストアの途中ということで剥き出しのジュラルミン地金が見える状態。
これが素晴らしかったのです。
リベット打ちのジュラルミン板で構成された機体は滑らかで美しく、生意気を承知で言うんですが、リベット1本1本にそこに打つ理由が浮かび上がる感がありました。
スライド開閉式の風防の精度はなかなかに見るべきものがあり、繊細。速度追求のため「誉(ほまれ)18気筒星型エンジン」のエンジン径とほぼ同じくらいの径に作られた細長い機体と偵察機ならではの3座分をカバーする長い風防など特徴的。
エンジンマウントなど興味深いもので、飛行機のエンジンマウントなんですが、80年代のラリーカーやレーシングカーを思い出したりしました。乗員が乗るコックピット周りがモノコック(彩雲はリブにジュラルミンを張った構造だからモノコックではないのか)そこからサブフレームとなるパイプを伸ばしてやってそこにエンジンをマウント、などとても興味美深いんです。まったくおもしろい。
いわゆるゼロ戦、零式艦上攻撃機が3機、うち1機は外板を張らずにフレーム・リブを見せた展示となっていました。これらもすごかった。水蒸気のフロートなんかも。これは当時のままの姿で。いろいろとマニアックな展示だなあ。零戦、小さな機体だったよ。一式戦闘機「隼」が並ぶのも感慨深いです。
翼端が折れるの知らなかったな、と感心したり、主脚のサイズ感とか、風防上のアンテナのガイシとか、ディティールに大変興味深い部分がたくさんあって捗ります。当時の戦闘機などのプラモデルを作り人なんかはすごく参考になると思う。
「彩雲」を目玉といいましたが、それを圧倒する展示が「一式陸攻」の胴体の展示。おどろいた。
かの山本五十六長官がブーゲンビル島上空で撃墜された時に搭乗していた機体と同型機。大きかったなあ。こういうサイズ感だったのかあ、と感慨深いです。
きれいなレストレーションで、禍々しい尾部機関砲なども見るのですが不思議と殺戮の(尾部機関砲の用途は防御ではあるけれど)機械という怖さがなかったな。ただ機械として美しかった。そう感じました。
「桜花」もありました。その使用方法を想い胸が痛みました。そうか、「一式陸攻」の原に吊り下げられて敵地に向かったゆわれからの同じ場所での展示か。松本零士先生の漫画を思い出しました。
屋外の展示もあって、こちらはジェット戦闘機も。日本の古い特撮映画でお馴染みの機体、ロッキードのシューティングスターとかブルーインパルスカラーのセイバーとか。これも現物ということでどれくらいのサイズ、質量なのかがわかるのは楽しいです。
テキサンなんかもあって、これがそうか、映画なんかで零戦の代わりに改装されて出演してたよな、と違いを確かめたり。ほかにも古いヘリコプターもありました。これも特撮で見たな。
変わった展示物では自転車が。「三菱十字号」というんですが、なんでも戦後航空機製造が禁止された三菱が残っていたジュラルミン材で作ったものなのだとか。スクーターや、ホンダの赤いエンジンのカブ号なんかもそういう残存品を生かしたプロダクトだったはず。いろりおおもしろかったです。
8月だけの開館というのもなにか思うところがあります。
戦争礼賛の思いは欠片も無いのですが、技術という見地からの面白さと同時にあったことの事実を知りに行くというのは価値があると思う。そういう価値ある場所でした。
富士スバルラインの料金所のすぐ手前にあります。
一度見に行ってみるといいよ。今度は来年の8月です。