小湊鉄道・月崎駅の線路脇でしばらく待って、やってきたくすんだあかね色のキハ40型が夜に消えていくのを見送りました。おなか、へったな。それじゃあそのあと、
カレーですよ。
出かけた先でローカル線の駅を眺めるのはちょっと好き。移動してJR久留里線・久留里駅へ向かいます。カレーであるぞ。
小湊鉄道の風情あふれる小さな駅舎とても魅力的なんですが、JR久留里駅の殺伐とした感じも千葉ローカルな空気があってわたしはなかなかに気に入っています。JR久留里線、わずか14駅のローカル線です。ターミナル駅である木更津駅を除けば都市部の人間が考える「駅前」など、ないわけです。牛丼屋もラーメン屋もコンビニも、ない。ないんです。果て、という言葉がにあいます。
そんな場所にタイ料理屋さん。ああ、なんかもうありがたくてうれしさがこみあげるなあ。しかも店内、満席に近いじゃない。驚異的です。地元の多人数マダムグループ、タイ人のカップル、二人組の若い日本人女性、OLさん風、会社帰りっぽいな。そんな人たちで賑わう、
「たいこくどう」
ドアを開いて店に入るとカウンターがないようので、一人客であるわたしは遠慮がちにそっと席に着きます。
店内、落ち着いたよい雰囲気。照明は落とし気味でインテリアのセンスもけばけばしくないタイローカルという感じでセンスを感じさせます。
ここ、腰が座るねえ。いいねえ。
さて、注文だ。結構幅広く色々な料理がラインナップされていい感じです。かといって多すぎないのもいいな。千葉のネイティブタイレストランはものすごい量のメニューをどばって載せていて選びきれない、なんて店も結構あるからね。
ゲーンハンレーがあったのでそれするかな、と思っていたところちょっとおもしろそうなやつがありました。
「いのししのレッドカレー炒め」
これいいかもしれない。パッペッだよね。いやチューチーかな。これに決めよう。ごはんとコーラも注文します。
ああ、そうか、店頭にあったあの幟。「房総ジビエ」これのことか。盛り上がるといいな、と思います。だってキョン被害、甚大らしいから。この日わたしもふつうに道端で2頭見かけたし。よろしくないなあ。やっつけないと。どうやらアレらしい、行川アイランドが廃業した時に逃げ出して野生化、繁殖、、、とかなんとか噂が。真偽の程はわからないけどとにかくいかん。
さてこちらはイノシシ。
注文を済ませてからそれほどかからずにやってきました。赤い色が食欲を誘うねえ。ちょい辛めでいい感じに汗をかかせてくれるお味、おいしい。辛さ主体ではなく野菜の旨味とレッドカレーペーストの奥行きに辛さが乗る感じなのがいいんです。大変うまいぞこれ。スプーンがどんどん加速します。
プリックナンプラーもきちんとお店で作っているものでニンニクと唐辛子たっぷりでもう本当に旨い、これ好き。これがあるからごはんおかわりしたくなるくらい好き。液体の塩辛みたいなもんです。
で、食べ始めてうっかりイノシシをほぼ意識せず食べていることに途中で気がつきました。それくらい自然だったんです。イノシシ肉、意識して食べると食感にやはり引き締まった感じがあるな。畜産豚肉とは違う、と主張してくる感じ。脂部分もクセがなく、かえって豚よりも軽く感じました。ほほお、こういう感じなのかあ。バイマックルーがフレッシュで香り鮮烈。かなりよいものでありました。
そうそう、お通し的に出たピーナッツ。千葉だねえという感じなんですが、タイ料理のお店でピーナッツが出てきたらもうこれは砕いて料理にかけちゃってもいいわけで。やりました。とても良いね。料理にナッツ合わせるのいいよねえ。
調理の補助などしつつホールの面倒を見てくれる女性が感じ良く丁寧でうれしくなります。距離感近くやんわりやさしく、おかあさんのように接してくれてホッとしました。駅前で「な、なんにもないけどだいじょぶかー!」とおもってた時との落差がすごい。
食べ終わって外に出ればやっぱり人っこひとりいない駅舎が佇む小さな駅前ロータリー。寒さと閑散とした空気ですが、もう寒々しい気持ちはないよ。いいお店であったかさをたくさん補給できたからね。
さて、おうちに帰ろうか。