カレーですよ5432(亀戸 カフェ・アチャ)幸福な空間。

いつきても快適だなあ、と心から思わされてしまうのです。ホントに快適。空気がいいと思う。

 

 

カレーですよ。

 

 

お客さんたちの和やかな空気。これを店主とスタッフさんが一緒になって醸成してきたのだろうなあ、とわかるんです。一朝一夕ではないものを感じるな。

ご近所であります。ご近所もいいところなんだから、快適なのを知っているんだから、もっといかないとねえ。

 

「カフェ・アチャ」

 

はそういうお店。お客さんがみんな嬉しそうにリラックスしています。そう見えるよ。多分わたしのことを他人が見たら同じく見えるのであろうねえ。そういう想像ができます。

決まり悪いけど致し方ないのよ(笑)。ここはみなさんの空気をみならってここに溶けてゆけば良かろうね。

さて、注文です。カレーが2種乗ったセットにしようと思っていました。いつでも3〜4種用意されるインドの煮込み料理や炒め料理。この日は1つすでに売り切れのようで、とはいえなんの問題もないので2つ、お願いをします。とにかくどれもハズレがないのを知っているからね、安心感が違うのです。秋元店主がこそっと「別の1種、少しあるのでおまけしますね」ときた。なんとも嬉しいオファー。素直にいただくのであるぞ。

 

サンバル

 

秋元店主のサンバルはいいんだよ。前もそう思ったもの。爽やか、鮮烈でなんというのかこれは、気持ちのいい味なのです。サンバルの見本のような真面目な作りであり、そこになにか陽気さとでも言えるようなものが乗っかってると感じます。なかなか伝えるのが難しいんですが、そう感じるの。それはつまり個性がちゃんとあるということ。おいしい。ただもうおいしい。いいなあこれ。


プロウンカルディーノ

深くて手応えのあるグレイヴィのエビカレー。エビ出汁が濃く効いていて、濃厚クリーミー。でも重たくはならないんです。こういうの上手に調整するのなかなか難しいんだと思う。これは好む人も多いねえ、まちがいなく。サンバルとの対比が鮮明で良い組み合わせです。

 

マトン

やはり秋元店主は腕があるなあ、と快哉。うなるおいしさ、肉の扱いがうまいのです。とろりとした食感、複雑な味、それを煮込み料理の中、グレイヴィの中空に固定してあるんです。肉を食べる小さな至福と煮込み料理の汁の楽しみがちゃんとあって、尚且つエキゾチックな気持ちを掻き立てられるバランス。ああ、これはうまい。

添えられていたチャトニは香ばしく忘れがたいおいしさだったよ。アチャールもいいし。こういう小さな薬味や副菜に魂が宿るものこそがインド料理だと感じます。混ぜたり調整したりの重要な役割を持っているから。こういうものを蔑ろにする店は信頼できないんだよな。

 

で、幸せであり、こんないいものをわずか1200円で出しちゃダメよ、というのもあって何としても客単価を上げたくなり(笑)コーヒーをお願いするわけなんですが。そんな言い訳をしないでもコーヒーは頼みたい。だってもう、すごいおいしいから。で、そうやって書いたんだけど、実はもう少しこの快適な空気の中にいたかったから、というのが本当のところ。えへへ。

美味しいコーヒーはいいよね。なんというのだろう。手持ち無沙汰をかき消すために頼んだり、リセットを求めたり、コーヒーを飲む理由はいろいろあると思うんです。そんな中でしっかりと存在感があって、しかしその場所の時間や空気を乱さない、そういう一杯があると思っています。口元に運ぶとそのアロマでおやっと思わされ、しかしその飲み手の意識を釘付けにはせずその人の次のアクションの中にすっと姿を消す。そういうコーヒーでした。

口に含むたびに「ここにいるよ」と言ってくるんだけどね、しかし数秒間の残り香を余韻に残してひいてゆき、存在を消すのです。そしてまた気がついて一口飲むと、、、という繰り返しに。これを積み重ねていくと「良い時間」というものになるのではないかしら。そんなことを考えながら、最後の一口。

あの地獄のような(笑)1階のエレベーターホール(とも呼べぬような小さなスペース)さえクリアできればあとは一気に7階へ上がって幸せな時間を領受できるのですよ。

なんともはや、素晴らしき隠れ家です。