こういうカレーライスらしいカレーライスはいいものだなあ。正直いつもいつもだとちと飽きるけどね。
カレーですよ。
こういうカレーを食べると意識が、カレー感がリセットされるんです。スパイスカレーとかインドカレーとかが氾濫する現在、そもそもニッポンのカレーライスはこういうものだったのではないかしら、など思い起こされ目が覚めるんですよ。そしてわたしにはそういうタイミングが必要です。
なかなか降りない、なかなか行かない場所。船橋海神。派手なショッピングモールがあるわけでもなし。大きな商業地区があるわけでもなし。そんななにげない町には日々の生活があり、その日々の生活に寄り添う慎ましい食があるんです。慎ましい日常には慎ましやかなカレーがよく似合います。貧しいとか裏寂しいと言う意味ではないよ。清貧ともちがうな。
「二葉 海神第一支店」
はそういうカレーライスがあるお店でした。
ぱっと見は昔の町のそば屋風。いい、いいなあ。こう言うのが落ち着くんだよ。ショーケースの蝋細工(今は食品サンプルと呼ぶのか)も嬉しいこの雰囲気。店主の趣味や地元とのつながりが見え隠れするのがね、ぐっとくるんです。店内も飾らず快適で気分がいいね。こういうのでいいのよ。
注文は、
「カツカレー」
です。
まず出てきて「おっ!」と思ったのはもちろんこれ。「コップの水にスプーン刺し」であるぞ。思わず声をあげそうに。
これなあ。これをやられると無条件で嬉しさが倍増だな。このあと出てくるカレーのキャラクター、方向までもが想像できるってもんです。わくわくしてきたよ。
果たして、そのカレーは普遍的なカレーライスであり、100人に聞いても100人が「カレーライスで間違いない」と言うであろう味。もしかすると「ライスカレーカツ乗せ」と呼んでもいいものかもしれないな。
具材の玉ねぎは結構な量で、みじんの炒め玉ねぎではなく具材としての玉ねぎというのがうれしいんです。出汁の入ったねばりけのあるカレーというものは昔のスタンダードであり、こういうのじゃないといかん、と思わせられるところがあります。
現代においてカレーのスタンダードを考えるときに、こう言う昔のスタンダードを持ち出すのはナンセンス。しかしこういうものがあってこそのニッポンのカレーなわけで。
うはあ、ソースかけるの、いいなあ。
こういうのがちゃんと2025年において生き残っている理由というものがあるんだよ。
大事にしたいものなのです。