
なくなってしまい、残念に思っていた店があったのです。その味と雰囲気が本当に好きでね、かなりがっかりしていました。
カレーですよ。
あれから半年以上経ったかな。しばらく経ち、そんなしょんぼり気分のところ吉報をつかんだのであります。あのお店は閉店したのではなく移転だったらしいんだ。なんとうれしいありがたい。しかも調べると新メニュー「もつカレー」があるとかなんとか。行かない理由が見つからないぞ。

問題はもつ定食とカレー、どちらを選ぶか決められないということ。それだけだな。そわそわしながら中央道にハンドルを向けます。目指すは中央道甲府昭和ICそばの新生、
「もつ定食の店」
そのまんまの名前であるよ。そこがお気に入り。前は塩山にあったんです。桃のメッカ、塩山だからね、たまたま夏の桃の仕入れのときに見つけたお店です。
こんどは甲府昭和の方に移転したらしい。甲府昭和ICの付近は気に入っているお店が多いんですよ。「ビリヤタ」、「東京てんまや」、「居酒屋&カレー 渡邉」でしょ。「カレーハウスじゃがいも昭和店」もあるし「錦記飯店」は忘れちゃいけないスペシャルな中華咖喱。「カレー屋月夜のライオン」もあるしなあ。


さて、「もつ定食の店」。今度はこういう感じかあ。以前はこじんまりした店でスクウェアな店内、カウンターとテーブルのシンプルなお店でした。ちょっと垢抜けたカラオケスナック的雰囲気だったよ。今度のお店は一軒家で飲食店然としており立派です。広くて光が入る気持ちいいカウンター席、空間に余裕のあるテーブル席と、何より広くて奥行きある使いやすそうな厨房がいい感じ。これならおかみさんも腕の奮い甲斐があるよねえ。


券売機を見ると、おお、メニューの数が増えている気がするぞ。夜限定の「もつチャーハン定食」がないみたい。そのかわり「焼き豚もつ定食」と「辛口もつカレー定食」が追加!!うんうん、喜ばしい。あいかわらずおひとりで回してらっしゃるようですが、こちらに移ってメニューを刷新した様子。

もちろん「豚もつ煮定食」と「馬もつ煮定食」の二本柱は健在。これがどちらもすこぶる旨いのです。本当にいつも迷って選べない隙のないメニュー構成です。
とはいえきょうは迷わず新メニューの、
「辛口もつカレー定食」
のボタンしか見えません。


辛口とあるんですが、カレーマニアや激辛層の基準ではなくて、家庭料理のカレーとしての辛口なので間違いなきよう、ね。券売機で買っておかみさんに渡します。基本セルフです。しばらくするとカウンターで番号札の番号を呼ぶ声が聞こえました。さて、カレーの時間だよ。


これは、、、ははあ、豚もつ煮込みの具材がたっぷりと入っているなあ。具材主体な感じが伝わってきます。さすがに看板を「もつ定食の店」とするだけのことがあるな。
ではもつから行こうかしら。


んんん?と思ってしまうほどの不思議な口当たり。舌触りが柔らかく、これはなんというのだろうね。むにっではなく、ぷるんっ、でもない、ましてやザクっとかぐいっとかでもないんだよ。ふわり、が一番近いかな。ふわりなのだけどふわりとしたまま舌に絡んで吸い付いてくる感じ。うむむ、こりゃセクシーな感覚が舌の上に残るぞ。いやあ、これまったくすごい。やわらかさやちゅるんとした感触は、筋肉を食べる感の手羽、もも、ムネなどと違っていていけないものを口にしているような感触を感じます。


なんか、うーん、すごいぞこれ。そうだった、ここのもつはそういうやつだったよ。特に豚もつ、ね。
カレーは至って真面目な家庭のカレーライスの体。が、しかしこの素晴らしいモツがカレーを特別なものに引き上げているんです。生姜がすりおろしではなく粗微塵、いや、太め短めの短冊かな。そういう刻みで入るのも食感のアクセントになっており、よいねえ。付け合わせのらっきょうの甘さもちょうどいい。いろいろいい。いいなあ。おいしいなあ。


「豚もつ煮定食」と「馬もつ煮定食」は前にも食べているのであえて書くんですが、スパイスを使うカレーライスというものにしては味噌で煮込んだ「もつ煮定食」の2品よりもつのクセが前に出る感じもありました。それはたぶん、カレーという強い個性にもつが巻き込まれ、染まり、豚もつ煮の良さのようなものをスポイルしてしまうからこそ、ここで寸止めということなんじゃないかな。そう感じます。

これはカレー仕立てのもつ煮込みだね。カレーではあるけれど「豚もつ煮込み・カレー仕立て」なのではないかしら。きっと間違いなくそうだと思う。


もうこれ新しいジャンルで良いのではないかな、ここ「もつ定食の店」の「辛口もつカレー定食」という料理は。
