
ハウスギャバン株式会社で記者発表があり、その会見に登壇するために八丁堀/新川の本社に行ってきました。大変に刺激的な発表でした。
カレーですよ。
製品発表会、、ではないかな。もちろん製品もその中核として鋭意開発され完成しているのですが、もっと大きな取り組みの幅があったのです。製品としてはコンシューマー向け一般流通品ではない飲食事業者向けのものです。そしてとても大事な部分が、ブツではなく、それを含めた取り組みとこれからのビジョンにあるのです。その発表というニュアンスでした。ひとつジャンルを作り上げるような話し、なのですよ。

で、まずね、会場に集まったメンツがすごかった。
「飯田商店」、「中国ラーメン 揚州商人」、「つけ麺専門店 三田製麺所」という大看板。そして高田馬場から「麺屋宗」、小田原から「らぁ麺 桃の屋」、青森からは「麺や絶豚」が。カレーばっかりの人生のわたしでさえ知っているブランドバリュー高いラーメン専門店のトップが一堂に会しております。いや一体これは何事か。


しかもメニュー口コミ投稿サイトの「SARAH」の高橋代表までいらっしゃる。うむむ、なんかすごいぞ。そして井手隊長とわたし。以前からお付き合いがあるので顔を知ってる井手隊長がいてくださって正直ホッとします。もちろんこの企ての張本人、ハウスギャバンの田中さんがいるから大船に乗った気分ではありますが。


発表されたのは、
「ラーカレ」
というもの。「ラーカレ」とはなんぞや、だよね。これは製品、商品の名前というよりもジャンル名となるでしょう。そういうものだと思います。もうすでに公開されているウェブのページにこうありました。
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ラーメン屋さんのスープが、カレーに出会う「ここでしか味わえない新しいカレーのかたち」が実は今、ひそかに広がっています
ラーメン屋さんの「旨味のあるスープ」×カレーの「スパイス」の融合
それが「ラーカレ®」という新しい文化
『お店によってスープが違うだけで、こんなにも違った味わいなの?』
食べた人にしか分からない体験を、あなたも
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なるほど、それで試食まで用意されてていて、賛同するラーメン専門店の代表たちがいらっしゃっているというわけか。田中さんに案内されてハウスギャバン本社のテストキッチン(心臓部、だよね!)に何気なく連れられていくと、先ほどのラーメン店店主たちが肩を並べて同じキッチンで腕を振るってらっしゃる。うわわ!これ、とんでもない光景だぞ。みなさん笑顔で楽しげに、しかし真剣にラーメン、、ではないな、今回はカレー「ラーカレ」をを仕上げていらっしゃいます。眩しい光景を目の当たりにしてしまったなあ。

でね、これ、わかるんですよ、この流れ。それはつまり「ラーカレ」というものが世に出る下地のようなもののこと。ここまでの流れのようなものは日本のカレーの動向を俯瞰してきたのでざっくりとですが、こんな感じでまとめられます。
↓ラーメン専門店のカレーは「ミニカレー」「カレー付きセット」などのポジションにあって割と冷遇されてきた。
↓それは致し方なし。なにしろ「ラーメン専門店」の「サイドメニュー」だから、手をかけられる範囲というものがある。
↓しかしごく稀にすごい美味しいカレーが出てくるラーメン専門店などもあった。例外なく店のラーメンスープを使っている。

そんな感じのラーメン店でのカレーライスの、もう一つ主役になれない(当たり前なんだけどね)扱いは長く続いてきました。とはいえ個人的にはそういうものにも独特の哀愁などあって、わたしはきらいではないのですよ。今のはラーメン側の視点。そしてカレーの側の流れはというと。

↓ニッポンにカレーライスありき。そしてインド料理やその周辺国料理ひいてはアジアの料理の「カレー的なもの」を「カレーライス」で括る日本人独特の感性。
↓食文化の広がりと進化の中、国内香辛料メーカー、食品メーカーの研鑽とマーケティング。加えて外国人移民と彼らの運営するレストランの増加等から日本人の舌がスパイスに親しんでいった
↓スープカレーの「出汁から作る」文化の発生と隆盛。札幌発信からの全国区への展開。
↓「大阪スパイスカレー」の誕生から大阪の文字が取れて全国区への拡大。関西で並行していたのは「スリランカカレー」と「だしカレー」というワード。
↓徐々に出汁を重視するカレーという考え方が幅広い層に響く(元々の欧風カレーのフォンなど使う文化も並行してあるが積極的な喧伝はなかった)。

こういうタイミングで「ラーカレ」が来たのは必然と考えているのです。これはラーメン店からの現代のカレーに対するアンサーなのだと思うんですよ。
「俺たちが手をかけるとカレーはこうなるよ」
というアンサーです。実に刺激的だったよ。
ただ、それがそのまま通せるか、メニューに載せられるかというとなかなか難しいところもあります。自店舗のラーメンスープを使うにせよゼロベースのスタートでオリジナルのカレーを創作して提供するには知見も必要だし時間、手間は膨大なものとなるのはもう明らか。そこで今回ハウスギャバンがそういう場所に手を差し伸べ、ラーメンスープにフィットするカレーの元「ラーメンスープ専用濃縮カレーソース」を開発、製品化してそれを業販に乗せる形となったんです。

あ、こだわりの店主さん達が多い業界ですからね、「濃縮カレーソースやだ!」のお店にはギャバンブランドのスパイスを提案するという道も用意してあるんです。
それで、ここまでならよくある話しで終わるんですが、今回ハウスギャバンの動きは違っていたんです。ただバルクの製品を店舗用業務品として作りました、はいどうぞ、ではなかったのです。言ってみれば「ジャンルの構築」と「カルチャー創出」というところをテーマに外食業界にリーチしていると感じます。この取り組みを面白いと考え、やってみようと考えるラーメン専門店のサポートもしてしまおうというところまで支えるのがこのプロジェクト。ここに外食口コミ情報サイトの「SARAH」も参戦、タッグを組むことになったんです。なかなかに規模が大きいぞこれは。

ラーメン店が本格的なカレーを始めるツラいなあ、というカレー専門店の店主さんもいらっしゃると思います。とはいえそういう取り組み、「ラーメン店が作るすげえカレー」なんてのがでてくるとね。戦々恐々なんていう心持ちもあるかもしれません。でもそういうのは大規模ではないですが、昔からずっとあったわけで。逆にカレーの新ジャンルが増えると「ラーメン店が作るすげえカレー」ってのを体験したラーメン中心で食べていた外食のお客さんたちがカレー方面に流れてくれる、相互流入などもあったりするでしょう。それはつまり市場の活性化、です。

人口減と経済低迷でなかなかいい話しが出てこない外食産業ですが、常にこういう新しい動きと活性化があるに越したことはないし、そういうものをメーカーが後押ししてくれるのはなかなかに価値があると思っています。
わたしがちょいと能天気に想像する未来は、たとえば屋外のラーメンイベントとカレーイベントにジャンル違いでラーメン店、カレー店が交互に、積極的に参加できる、とか。いっそラーメンイベントとカレーイベントの合体とか。生き馬の目を抜くラーメン業界に、横のつながり広くおおらかなカレー業界のエッセンスが流入したらどうなるだろう、とか。

お花畑でいいんですよ、はじめは。アイディア出しなんてそんなところからです。その中で何か拾い上げられる、輝く小さな砂粒をちょっとずつ集めると大きな宝石になるんだと思っています。
応援しようと思います。
