わたしが今季から本拠地とすることとなった、東京秋葉原にほど近い京葉道路沿いに位置するキッチンスタジオ「デジタルキッチン 」。
マロンさんプロデュースの素敵な空間で、仲間もいて、とても快適なんですよ。そんな場所で少し前、まだこんなにきびしい感じになってなかったころにちょっとパーティーがありまして。
カレーですよ。
パーティーといっても食事もある打ち合わせと会議だったんですね。それで、フードスタイリストのマロンさんや料理研究家のいんくんがなにか作ってくれるという豪華なものなんですが、せっかくだから他の参加者も持ち寄りしましょうということで、わたしに望まれるものとくればカレー。でもただカレーそのまんまじゃつまらない。
さいわい都営新宿線でいくつか行った先にあるのが神保町。ここはもう開店したばかりの
「タップロボーン神保町店」
しかないわけです。なんでか。それは持ち帰りにするから。
ちょっとマニアックなお弁当があるんだよね、スリランカに。まだまだ知っている人も多くはない、ちょっと面白いものです。なかなかに大変なものなので日本のスリランカ レストランでレギュラーメニューで扱っているところは多くありません。
幕の内弁当は誰もが知っているオーセンティックな日本のお弁当。その由来は芝居の幕間に食べるからという説や戦国時代、陣地の幕の内で食べたとする説などあるそうです。いまでは高級弁当の代名詞、お弁当の名を持ちながらも和食店のメニューに載り、お店で食べるスタイルのものもありますよね。
そんな幕の内弁当と並べても引けを取らない、スリランカのお弁当が
「ランプライス」
と言うものです。
こちらの由来は植民地時代のスリランカにやってきた外国人男性とスリランカ人女性が恋に落ちて生まれた子供たち、バーガー人と呼ばれる人々の中でオランダ系バーガー人のひとたちに伝わるのが、これ。
バナナの葉っぱに包まれたちょっとすごいお弁当。バナナの葉っぱに包まれてるだけでも気分が盛り上がるじゃないですか。なので、この日のもちよりにはぴったり。皆さんを驚かせてあげようと選びました。何かのパーティーとかの手土産にも面白いと思うんです。
葉っぱの包みをひらけばよい香りがふわりとあがります。
炊き込みごはんに豆のカレーがかかっており、そのまわりに何種類ものおかずやカレーがそえられています。葉っぱでギュッと包んで中身もキュッと圧縮されるので、おかずの味がごはんにしみて、それがとてもおいしいんですよ!バナナの葉に包んで蒸すので葉っぱの良い香りも楽しめるのです。ああ、書いていてツバが出てくる。
甘味の要素があるおかずも多くてわたしたち日本人の舌にもぐっとささるお味です。
スリランカの人は鰹節やお魚の乾物を料理に多用するのでそういう意味でも舌に合うんですよね。
店主のカピラさんにこのお弁当のルーツを聞くと、
「スリランカの人が旅行したり畑仕事に行くときなどにお弁当を作ります。おかあさんが朝早く起きてバナナの葉っぱを庭から取ってきて、それを炙ってカレーやごはんを包んでね。オランダがスリランカを植民地とした時代があって、そのお弁当をオランダ人が見てまねをしたのが始まりと言われています。でもオランダ人が作ったものはスリランカ料理だけではなく各国ミックスのお弁当だったんですよ。オランダ人以前にいたポルトガル人や南米などの食文化の料理もミックスされて出来上がったんです。炒めごはんをバナナの葉っぱで包んだら油を吸い取ってくれてちょうどいいバランスになっておいしくなったんですよ。それがランプライス。」
甘酸っぱいピクルスはマレーシアとかシンガポールから来た料理なんだそうで実はランプライスの中のスリランカ料理の要素ってすごく少ないんです。面白いねえ。
マロンさんの特製ショートパスタのナポリタン、食べ始めたら止まらない。
いんくんのあまからの唐揚げもすごい破壊力。おいしすぎる。
そんなお喋りをしながらの持ち寄り会兼の打ち合わせ。
食に携わるメンバーが大喜びしてくれました。
はやくまた、みんなで集まれる環境になるといいねえ。
*4/22現在、ランプライスは門前仲町店で購入可能です、とカピラさん。お店に問い合わせの連絡を入れてから行くのが良いでしょう。外出するなら慎重にね。