カレーですよ4518(横濱都築 北山田 ラニ)心ある料理と気持ち落ち着く拠り所。

忙しいのは忙しいけれど、それでもカレーは欠かさないのです。用事が多ければ多い分だけ出先でカレーがついてくるってのもあります。なぜかそうなのよ。いや、やっぱり忙しいと外出も増えるし、行った場所で必ずカレーやさん探すし。そんなわたしなのですが。

 

 

カレーですよ。

 

 

そう言えたのは緊急事態宣言前までで。

とはいえそれでも外出先で食事が必要になることは日常ですから。だったら感染防止環境のより高い店を選んだり、ひとりで食事を取ったりという努力、こちらからせねばいけないですよね。もちろんこちら以上に店の方々は必死で安全な受け入れ体制を作っているのですから、その思いを無にせぬよう気をつけないといけません。

そんな難しい正月明けになってしまったのですが、港北で仕事を済ませました。おなかがすきました。高速のICでいえばお隣になりますが、下道をものの10分も走れば都築北山田。ハリオムさんの、

 

「ラニ」

 

があります。

去年のぴあムックのお仕事で少しやり取りしてからなかなか機会がなかったんだよね。

新生ラニはもう移転で3回目の場所変更。はじめの店は場所と時代的、というのも含めてハリオム さんの丁寧な仕事からナーンが評判を呼び、大変な人気だったお店です。そして家庭料理を看板に掲げた移転、人気のナーンを焼くために必須であるタンドールなしでという勇断。しかしハリオム さんのナーンを、の声がなかなか消えず、今回の移転でタンドールが復活しました。ナーンも同時復活とあいなったわけです。お客さんたち、大喜びです。ハリオムさんはちょいと肩をすくめる感じ、なのかな?どうかな?(笑)

顔を見せるとハリオムさん、喜んでくれました。

さてと、セットを頼んだんですが、なんか知らぬ間にコースになっているぞ。やられた!やられたな、の感です。そうだ、さっき話に出た去年のぴあムックの話、ラニを取り上げたんですよね。そしたらハリオムさんすごく喜んでくれて、今度来たらご馳走するって言ってくれてたんです。いやいや、いいですから、と言ってたんですよね。熱り(ほとぼり)冷めたかなあ、と思ってたけど、ハリオムさん、忘れてなかった!(笑)その友情に嬉しさが込み上げます。

 

さて、まずはサラダとスープから。

サラダ、あまりにもちゃんとしているんですよ。知ってました。もうね、うれしくて困ってしまうんだよ。困らないけど。食べればバリバリと大きな音が出るシャキッとした葉っぱたち。それぞれきちんと野菜の味がするんです。この当たり前ができていないサラダのなんと多いことか。野菜選びと野菜の丁寧な扱いだけでこうなるのです。それをやっていないサラダが多いんだよな。いつも感じるのが、ハリオムさんは野菜を愛しているよなあ、ということ。丁寧に選び、丁寧に使う。それを実践してらっしゃいます。

キレがあり、でも少し甘めにしてあるドレッシングもとてもいいんです。野菜の味をじゃましない調整。量もたっぷりのサラダで、本当に満足感が高い。ああ、幸せだなあ。インド料理云々ではなく、ひと皿の力が大きいのですよ、ハリオムさんの料理は。これだけで満足してしまうよ。

スープも特筆。

キャベツが入ったサラリとしたスープ。うわーこれ、おいしいなあ。これ、食べたことがなかった。おいしい。コーンスープ的な甘味があって、クリーム的なボリュームと野菜の味が程よくバランスしています。うーん、これ、夢中で飲んでしまう。いつも書くんですが、スープがコースやメニューにあるインド料理店は覚悟があります。食堂ではなく、自店がレストランであるという自負、誇りですね。だからスープをメニューに掲げているのに他の料理が大したことなかったらバカにされてしまいます。スープってそういう意味があると思っています。ラニはレストランとしての矜持をちゃんと持っているお店です。

パコラもいただきました。おいしい。ふわっと仕上がっています。チャトニがねえ、美味しくて。上手に作ってあるなあ。赤いのと緑のと。どっちもお皿までなめたくなっちゃう。

 

それで、カレーが出てきたんですが、レギュラーサイズの器に3種類。

ちょっとちょっと、50半ばのおじさん捕まえてこんなに食べろと(笑)

もうね、そのもてなしの心、気持ちが嬉しくて嬉しくて。

もちろん全部綺麗さっぱり食べました。当たり前じゃない。その気持ちに応えねば。いや、そうじゃなくて美味しいからまたも綺麗に食べきってしまったの。

 

チキンマサラ

 

ああ、これ、面白い。スパイス使い、こういうやり方もあるのか、と目から鱗でした。これ、インドレストランの会計のところに置いてあるアレ。フェンネルの香りが前に出てるのか、と思ったら、間違えました。ちがうちがう、これスターアニスだ。なんでフェンネルな気がしたんだろう。甘い香りで、スターアニスを使うとオリエンタルな感じに行くのですが、これは少しニュアンスが違うんです。

不思議だねえ。スパイスって面白いねえ。

あと黒砂糖で作るバランスがすごいです。ばちっと辛いのに甘さが強いぞ、と脳が反応しています。甘みと旨みと辛さ、ああ、おもしろいったらありゃしない。

れんこんのほっくりした食感もいい合わせ方ですし、きちんと食べ応えある旨いチキンがまた、たまらない。にんじんが強く甘く柔らかくて嬉しさが込み上げます。このカレーは甘さと辛さのレイヤーが綺麗に頭に入ってくるのが面白い、おいしい、くせになる。たまらんです。

 

マトン

香ばしさがまずぐいっとやってきます。お肉のお楽しみをぎゅぎゅっと凝縮して感じられる滋味深い味わい。これまた辛くて良い感じですねえ。唐辛子の辛さを辛さではなく風味として受け取ることができる味と調整で素晴らしいものです。で、やっぱり辛い。それがいい。

味の方向は旨みと香りを塩味でまとめてキメる感じでしょうか。

蕪が入るのがとてもよいなあ。そしてそれがまたとろんとろんで素晴らしい仕上がりで。蕪の味の強さをあらためて思い知りますね。肉をのけて蕪とカレーソースを含むとまるでスパイシーなカブのシチューという風情になります。

肉はマトンで肋(あばら)が細かく残る骨つきの部位。鼻を抜ける香ばしさが記憶に深く残ります。大変に美味しい。

 

もう一ついただいた、これはなんだろうな。細かめの緑豆、豆と挽肉のサイズ、食感をうまく合わせてある、トマトの爽やかさが際立つトマトをキメ味にしたキーマ、だな。

トマトクリームシチューに近いイメージで如才ないよいもの。こういうのは必ずメニューに入っていて欲しい味のものです。

これもいい。舌が落ち着きます。

 

ナーン

みんなが待ちわびて、カムバックを叫んで、ハリオムさんが渋々(笑)メニューに戻したナーンです。そりゃあみんなが欲するだろうな、とよくわかるお味。他の店のよくある甘いばかりのナーンとは一線を画す素晴らしいものなんです。発酵パン特有の酸味と風味がきちんと出ているのに驚かされました。こんなナーンは初めて体験するかもしれないなあ。ちゃんとパンになってるんですよ、変な言い方だけど。ほとんどのナーンがベーキングパウダーと砂糖で、というもので、それはそれで美味いんですけどね。ハリオムさんのやつはパンとしての力や価値が全然違うと素直にわかるすごいもの。いや、まいった。こういうナーンならごはん派のわたしも大歓迎ですよ。

食べ終わってあっぷあっぷしていたらハリオムさんが席に来てくださった。そりゃああっぷあっぷもするってば。50超えたおじさんにカレーのレギュラーサイズを3種だもの(笑)。ありがたい悲鳴がおなかからほとばしっております。

ハリオムさんにおいしかった旨を伝えていると隣の席のご婦人が小さくスタンディングオベーションを送ってくれました(実際には座ったままだが)。なんだろな、とおもったらそのご夫人、どうやらわたしの説明、味の表現が素晴らしいということらしく。表現法に感激してくださったようです。よかった。プロの面目が立つというものです。一応プロだからね(笑)

とにもかくにもラニはよいレストランです。インド料理というちいさな括りを超えていいレストランであると感じます。きちんと真面目に取り組みがあるし、ちゃんとよいものを出そうと努力をしているし、そういう「レストランとして至極当たり前のこと」をハリオムさんは淡々と続け、進んでいらっしゃる。インド料理店という枠で捉えない方がいいかもしれません。

 

我々コンシューマーはこういうレストランを選ばなければいけない。そう思いますよ。

 

 

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