カレーですよ4535(千葉 ベンガルタイガー)千葉の宝石。

わかっているつもりだけれど、久しぶりに行ったらやはり心奪われる、気持ち揺さぶられるレストランでした。問答無用でいいレストランです。圧倒されます。

 

 

カレーですよ。

 

 

以前、たまたま自転車で走っている途中に行き当たったおみせでした。不思議な場所にあってね。住宅街の中にぽつり。隣がパン屋さんで、パン屋さんとインド料理のレストランだけが住宅街の中にポツンとあるんです。パン屋さんもすごい店らしく、なんだか車やタクシーやらが次々とやってきては店の前に数分止まってはまた出て行きます。クルマを使ってでもきたくなるくらいのパン屋さんなのかそうなのか。

おっと、インド料理のレストランのお話でした。

 

「ベンガルタイガー」

 

という名前のこのレストランが実に素晴らしい店で心底驚かされたんですよね。

店のインテリア、エクステリアはシンプルで好ましいもの。店内インド色はあまり強くなくモダンなレストランそのもの。そこがよいんです。イタリアンでもフレンチでもシェフとメニューブックを入れ替えれば翌日から営業できそうなスマートなインテリアです。

そのスマートさ、モダンさはメニューを見るとそれらがリンクしていることがすぐに理解できるでしょう。

どの料理も西洋料理、ホテルレストランのスタイリングを踏襲しているようでインドレストランの独特のあのセンスとは一線を画しています。どちらがいいというわけではなくね。縁の面積が広いモダンでシンプルな皿に美しい立体的な盛り付けにエディブルフラワーと、プレゼンテーションをしようという意思が強く伝わってきます。

ランチタイムを少し外したつもりだったけど店内は盛況。平日の昼だというのに入るお客は途切れない。こんな時期にすごいことだよ。足腰の強さが見えますね。あ、そうか。リーさんのスパイストラベラーとか松さんのメダルとかいろいろ要素もあるからかな。要するに大きな話題になっている、と言うことですね。

メニューを見て、チキンレンダンカレーを注文。一緒に行ったわたしの奥さんは日替わりのランチセットを。

まず出てくるエビ煎餅。ソースがつくんですよね。マンゴーピューレを使ったこれが出色の出来なんです。

エビ煎餅が出てくること自体ちょっと変わっているでしょ。これは南アジアではなく東南アジアのスタイルかしらね。しかもランチです。インド・コルカタ出身のサヒドシェフ、就業の地にインドの他、マレーシアのファイブスターホテルでインド料理ヘッドシェフとしての経験からなんだろうな、と理解ができます。さて、

 

「チキンレンダンカレー」

 

です。

すべてのカレーにはサラダとライスがつきます。またはライスの代わりにパン類を選ぶことができます。パン類はさらにエクストラチャージわずか200円でフィリングを入れることも可能なんです。

チーズ、エッグオニオン、バナナ、それにロティジャラへの変更もできます。ロティジャラはマレーシアの網状の凝ったパンでとても美しいものでした。

 

で、バナナパラタ。

うっかり後で気がついた。前回もこれにした。ああ、わたしはおさるだねえ。バナナが好きなんだねえ。

そしてこれが素晴らしいセンス。バナナを熱すると粘りと甘味と香り、そして酸っぱさが持ち上がってくるでしょう?それをパラタ、南インド由来の渦巻きパンにフィリングしてあるんですがこれが美味しい、たまらない。サヒドシェフの店ではぐるぐると渦巻きにする南インド式のパラタのスタイルではなく、四角く折ってゆくスタイルでの調理。これ、先ほどのマンゴーソースに浸して食べるのもいいんだよ。デザート的になる、たまんないよ。

あま味に飽きたらメインディッシュの皿の縁のカイエンヌペッパーとチャートマサラをなするのもいいでしょう。また新しい世界が見えてきます。

チキンレンダンカレー、これ、素晴らしかった。まずもう、目からやってきますね。そのビジュアルの華やかさに言葉を失ってしまうよ。昼からこんなに素敵なものを食べてしまっていいものなのかね、などおどおどしてしまうほどなのです。

黒い皿にコントラストを成す白いココナッツフレーク。所々に緑と赤が添えられていて、赤は、薔薇の花びらかな。料理の頂上にも冠のように黄色い花が飾られます。圧倒されます。こういうのいつも食べてると自分のセンスも変わってくるんじゃないかな。そんなことを思いました。

チキンレンダンカレー、ココナッツミルクが土台になっているようでまろやか、濃厚。そこにカシューナッツとたっぷりのチキンが入ります。カレーというよりもチキンの料理として成立している感がある料理です。グレイヴィはあくまでチキンを引き立てる繋ぎの役割、そんなふうにもとれるひと皿。それくらいお肉がたくさん入るんですよ。

飽きずに食べられる穏やかなお味で、ほんのりと、これはなんだろうね、レモングラスやバイマックルー的な爽やかな香りも感じられます。ここらへんはタイ料理とのフュージョン的な部分も見られる面白さ。洗練とアジアの根っこがある美味しさの融合とでもいうのでしょうか。すごいです。

そして量、結構多いぞ。ボリュームがあります。この洒落たお皿をなめてはいけないね。中央部だけ底の深いこのお皿は美しさも引き立てますけど機能としての理由もある。料理がたくさん入るんです。そして汁物を入れても中央にまとめ、流れ出すことがないが故のスタイリングも可能にしているという。実用性あるんだねえ。それをチョイスするセンスとこのスタイリング、そして骨太なこのお味。なんというか、サヒドシェフの世界観に引き込まれていくのを感じます。

ランチのセットも良かったよ。

ここ、ベンガルタイガーのエッセンスを幅広く取り入れバラエティに富んだ料理を一皿の上に集めている、いわば入門編、紹介編といえそうな楽しいセット。一度食べておくべきですね。

ダールはきちんとしたもので、粘度高く濃厚、穏やか。正しく豆の煮込みになっています。うん!おいしい。

マトンのマサラかな、これがまたうまいです。ものすごくうまかった。マトンは骨つきでその複雑な味をスパイスで美しく1本にまとめあげてある手腕が冴えるお味。うーん、ちょっとこれすごいな、いいな。マトンの扱いは本当にセンスが出るので色々な店で食べるのは楽しいですね。

トマトのチャトニは、もうこれはちょっとイタリアンの領域に入る感じの、少し辛くてトマトがフレッシュで気持ちがいいもの。なんにでもあわせられるし、できることならショートパスタをもらってアラビアータにしてみたい気分になるよいものです。

これ、よいな。

添えられたタマネギの炒めものは、これはすごくおもしろいです。鼻からつんと抜ける辛さと香りが洋カラシ的で、これはマスタードオイルのクセからかな。不思議な個性を作ってなおかつ他のものと混ぜて食べるとエキゾチックな表情を作ってくれます。

これはまったくおもしろい。

マッシュポテトはちょっとクラシカルな感じでこういうものが添えられる感覚は、わたしは好みですねえ。

 

わたしの顔に気がついたサヒドシェフが、このお店自慢のフルーツラッシーを振る舞ってくださいました。おお!大変に光栄。

前も驚いたんですがこれ、実にうまいのよ。すごくうまい。クセになります。今日のフルーツはりんごとみかん。どちらもすり下ろした果物がはいり、予想を超える主張を持って香ってくるのです。ラッシー自体の濃厚さと深い甘味にフルーツの風味と香り。ほぼデザートです。いやーこれはやはりいいものだなあ。

本当に心から堪能してしまったよ。しかも昼からこれだもの。なんという贅沢。もう午後は使い物にならないの決定です。幸せすぎる。しかもお安い。もったいない。こんな値段で出すのはもったいないし、食べにいってない人たちがもったいないってば。

サヒドシェフの腕冴える料理の数々や、その真面目な取り組みにやっぱりどうにも心惹かれてしまいます。いいレストランだなあ。

西のニューローズ、東のベンガルタイガー、関東ではこの2店をちゃんとみていなければいけない。そんなことを思っているのです。