カレーですよ4672(レトルト ヤマモリ 休塩日のカレー バターチキン)無塩。衝撃の無塩。

かなり興味深いカレーがヤマモリさんから届きました。減塩ではなくて塩分ゼロのレトルトカレー。へえ、そういう切り口おもしろい。

 

 

カレーですよ。

 

 

ご存知の通りヤマモリ株式会社は元々が醤油の醸造メーカーです。そのお醤油でこれまでも「減塩」をテーマに「GABA醤油」などの商品開発を行ってきているという実績があるんですよ。コンビニとコラボレーションのカレーでも減塩テーマのものがあった記憶があります。

その延長上にあるといってもいいのがこの新製品ですね。今回は「減塩」ではなくて食塩不使用でレトルトカレーとして形になったそうです。化学調味料、香料、着色料なども不使用。鶏肉やタマネギなどの素材本来のうま味を生かすことを徹底してあるそうです。ヤマモリの製品にはたまにこういう徹底したコンセプトがある尖った商品がポンと出てきて驚かされることがあるんですよね。そのフレキシビリティが本当に素晴らしい。

さて、今回のこのレトルトカレー、その名も、

 

「休塩日のカレー バターチキン」

 

と言います。なるほど休塩日というコピー。

パッケージを読むと、塩分を控えると体に良いというだけではなく、舌のリセット、刺激強い濃いものではないものを食べて味覚のリセットをするのはいいのではないかという提案がありました。ああ、これは良い視点です。はっとさせられました。わたしは食で仕事をしていますが気付かされますねえ、そこ。

開発に南仏のミシュラン1つ星レストラン「KEISUKE MATSUSHIMA」オーナーシェフ。外国人最年少で仏ミシュラン一つ星を獲得という実績を持つ松嶋啓介氏が参加しているのも興味深いところ。すごい人を持ってくるなあ。

さて、食べてみます。

バターチキンカレーはバターと生クリームのコク、肉の旨み、玉ねぎの奥行き、甘み、トマトペーストの酸味やふくよかさなどがちゃんと感じられるものでした。トマトと玉ねぎの旨味と乳脂肪系の厚みでバランスをとってあるのかな。

穏やかで上品。そしてなるほど、塩を使わないということが調味においてなかなか難しいことなのだということもよくわかります。同時に自分の舌を疑う感覚も出てきました。おもしろい、おもしろい。

じつは、失礼を承知で試しに塩を少し落としてみたんだよね。他の人に聞いたらやっぱりやってました(笑)すると抜群に美味しさが増すんですよ。あっと思わされました。

これではこのカレーのコンセプトからはずれていていかんのですけど、そういうことだよね。大事な気づきなんですよ。強い味、エッヂがある味に慣れてしまっている自分に気づくんです。どこかで頭を切り替えたり、どちらも美味しいと感じられるようなレンジの広さを自分の中に作らなければいけないな、と思わされます。食で仕事をするわたしだからこそ見えた課題かもしれません。

でもね、一般の人も健康、それから食材本来の美味しさを思い出すためのきっかけをこの味の中に見出せるのではないだろうか、と思ったんです。それと子供やお年寄りにも安心してすすめられるのも特筆です。

「味覚と向き合うていねいな食事を自分のペースで取り入れる」とパッケージにある言葉に思わず立ち止まりました。

たしかに強い味が好まれる最近で、自分の舌もそちら側に行きがちです。カレーといえばそういう方面だと思われがちかもしれませんが、同時にカレーの面白さでもある「味の幅」という部分でいろいろと探していくと素材を生かすための味付け、香り付けの料理にあたることもしばしばなんですよ。特に南アジアの家庭料理の中にはそういうものも多く存在するのを思い出します。

月に何回かでもいいからそういうことを思い出す日を作るのはいいかもしれないね。

 

そういうきっかけを作ってくれそうな1食でした。わたしのSNSでの投稿でも食に興味がある、健康や味に関心がある人がたくさん反応してくれています。