保芦宏亮さんはミャンマー料理研究家。伊豆大島で介護士をしていたころがあったりお寺の副住職をやっていたことがあったりと驚くべき経歴を持つ男です。この変わった経歴の持ち主、一貫しているのは「愛」。愛なのです。
カレーですよ。
自分が向き合う事象に愛を持って相対する魅力的な男、ヒロスケさんは缶詰の新製品開発のため渡航したミャンマーでコロナ、そしてクーデターと立て続けに困難に直面。しかしそれに真正面から向き合ってきました。
いまも続く、そしてもうこの騒乱が半年も経ってしまった、未だ虐殺の嵐吹き荒れるリアルタイムのミャンマーを、その目で見て危険と背中合わせのひりひりとする時間を送ってきた男。先日、ミャンマーの見たままの今をわたしのラジオ番組でお聞きしました。
そのときにプレゼントしてくださったのが今回新発売の彼が開発、販売する
「チェッターヒンマイルド」
ミャンマーという国。意外と場所がわからないという方も多いようです。
旧国名ビルマ。インド、バングラデシュ、中国、ラオス、タイと国境を接し、各国食文化の影響を受け、返してという場所。仏教国であること、米食主体でそこにおかずを添えるわたしたちにも通ずるスタイル。ミャンマーの煮込み料理、ヒンはごはんのおかずなのです。
ヒロスケさんの前作「チェッターヒン」はミャンマーのチキンのタマネギとトマト煮込みとも言えるもの。これを激辛に仕上げたオリジナル。本当に驚くべき辛さなんですけど、辛いものがそれほど強くないわたしでも食べられてしまうのです。奥の奥にある旨味が辛いのに手を止めさせてくれない。そういう魔性の魅力をもう少し多くの人に、と辛さを抑え目にしたのが今回の「チェッターヒンマイルド」。
あいかわらずパッケージを手に取るとズシリとくる重量感。骨つきの鳥手羽元が2本まるまる入るのがその理由。お皿にあけると粘度高く、どちらかというとペーストに近い感じがあります。赤くて旨味がたっぷり入った油が食欲をそそるよねえ。
食べてみるとなるほど、これならレギュラーの「チェッターヒン」が無理だった人にも抵抗なく食べられるはずです。これは成る程のバランスだね。うまさに必要な辛さはちゃんと残しつつ食べやすいチューニング。汗をかく量はヒロスケオリジナルチェッターヒンの1/3ですみそうです(笑)。
やはり、改めて旨い。強いうまみが濃いトマトの凝縮感からやってきます。うまい、うまい、ごはんがすすんで困るよこれは。手羽元は骨離れよく、しかし変に柔らかすぎずにきちんとか見応えを残しているのがいいんです。誰もが同じ感想を口々に言うのを聞きますが、袋を湯煎しただけのこれが「レストランの普通にうまいと同じレベルでうまい」んですよ。これはとんでもないことだよ。ピーナツオイルの香りやガーリックのパンチが渾然一体となって口の中で暴れ、もっとメシをよこせと叫んでいます。いや、冗談ではなくメシが足りないぞこれ。
こんなこともあろうかと、メシは2膳分盛り付けて、その上でゆで卵を添えてありました。うっかりからだにクセがついていて、からさ対応のつもりでゆで卵を添えたんですよ。これマイルドなんだけどね。結果、辛さ対応ではなくその「メシ泥棒」的な強い旨味にたちまち2膳分のメシが消えたあとを手助けしてくれて助かったわけです。食べ過ぎです。
警告です。これを温めるときはメシもちゃんとそれなりの量を炊いておくことをお勧めしておきます。メシが足りなかった時のあの絶望感は貴兄においては味わっていただきたくないと思っている故。ホント、きをつけて!!