わたしの10年続く連載の取材をお願いしてお話を聞いて来ました。神田神保町に行って来ました。
カレーですよ。
基本この連載、月刊男性誌の「エキサイティングマックス」の「それでもカレーは飲み物である」は、わたしがお店選びからなにからを全部やって、ちょっと行き過ぎなくらい愛を強く感じる店にいくわけなんですが、ここ、
「洋食膳 海カレー TAKEUCHI 神保町本店」
に行ったのも同じ理由。竹内さんが大好きすぎるのです。
たいして通ってないのにそんなこと言ってますが、おじゃました時に堪能させてもらった店内の鉄分多めのインテリアと以前もらった名刺に「鉄道系シェフ」の記載。「!」ときて惚れ込んじゃったわけです。
連載と別の仕事で神保町の散策コンテンツを作ることになったときにお店とその味、そして竹内さんの、店主の空気感にいろいろとあんまり感激してしまい、勢いで取材を申し込んでしまったという経緯がありました。自分の連載でまたおんなじことをやっちゃったよ。なんというのか、ご縁を感じたのです。
その後「べっぴん舎」と「お茶の水、大勝軒」との3店舗コラボ営業にもおじゃまできてますます惚れ込んで。そんなこんなで10年続く連載にご登場のお手間をおかけすることとなったわけです。
当日は、
「TAKEUCHI海の二重奏」
をいただきました。
代表作の海カレーとキーマ風カレーをひと皿で楽しめるやつです。
オレンジ色の海カレーはクリーミーで旨味がグッと強いうれしいもの。クリームやバターなどのコクでありましょうか。竹内さんの西麻布「ビストロ・ロテュース」や「ホテルニッコー」仕込みの西洋料理の腕が生きています。それとエビ、ホタテ、イカの旨味に気持ちさらわれる美味しいお味。
キーマ風カレーは海産物のだしがぐいぐいと来て、カレーだよね?カレーを食べているはずだよね?的な感じで脳がそちらに引っ張られて判断をミスしそうになるのが楽しいなあ。エビ、イカ、タコを挽肉に見立ててキーマとして着地させているカレーです。
おもしろいよねえ、アイディアだよねえ。
ひじきをスパイスとガーリックを使ってパンチある味に仕上げた副菜、もうこれには悲鳴をあげそうになりました。っていうかあげました。思わず声が漏れてしまう、、素晴らしくおいしい。センスというものがあるよねえ。
前に食べた同じようなお作法で調理されたきくらげスパイス炒め和えも、スタンディングオベーション級でした。
スパイス味噌汁もねえ。もうあのお味噌汁とご飯とスパイス漬物だけの定食でもいいよ、とか思う。もうほんとうにすごいです。
美味しさと同じくらいのパワーを感じる、美しくかわいい竹内さんの盛り付けには「見立て」と「なぞらえ」の要素があると思っています。名著「禅とオートバイ」というわけではないですが、タケウチさんの料理を食べながら「枯山水とZゲージ」というキーワードが浮かんだんですよね。
日本は、日本人は、たとえば落語などで畳んだ扇子を箸に見立てて蕎麦をすする仕草を作ったり、日本庭園で見られる枯山水の様式、白砂や小石を使っての文様でせせらぎを表現して、そこに無常をあらわしたりという「見立て」によってイマジネーションをふくらませる文化が根付いているじゃないですか。
竹内さんのひと皿はそういうものを想起させるすごいものです。