「もうか」であることを覚えたはずなのに毎度「まおか」と入力して変換してしまうのです。栃木県真岡市。行きたくて未だに縁がなかったお店にやっと辿り着きました。
カレーですよ。
最寄駅、真岡鐵道北真岡駅からは徒歩で50分(!)。9時から20時の間走っているバスは1時間に1本。公共の交通機関でのアクセスはかなり難しいハードコアな場所なのです。
いつも通りクルマです。バイパス沿いなんですが、そのバイパスからのクルマでの入り方もクセがあるんだよな。こっちじゃないだろうという方へと、意志の力で自分の経験と勘を捻じ曲げて進むとたどり着くのです。道、何回か間違いました。
大きな看板が出ているんですが、その看板の角を曲がることを躊躇させる道幅。普通乗用車が1台、道幅みっちりという感じです。すれ違いは100%無理であり、お店の前をうっかり、ほんの2〜3メートルほど通り過ぎるとそこはもう林道。なんだそりゃこわい。山奥というわけではないのですが、まったくもって林道。鬱蒼としています。Googleストリートビューがちゃんとその道をカバーしているのが信じられないくらいの道なんですよ。しかも夜だ。こりゃあなかなか厳しい。そんな場所に、
「セイロンフレーバー」
はあるのです。
や、ついに辿り着いたなあ、と感慨しきりです。何度となく通ったり、店の前までのぞきにきたりしたんですがどうもタイミングが悪くてやっていなかった。本当に営業しているんだろうか、と疑ったこともあったんですが、それとてこういう疫病蔓延の昨今ではそのあたりなかなか判断難しく、定かにならないのもありました。
それでね、今回はじめて気がついたんです。
いままでは「セイロンフレーバー」という店名だけ見てました。当然スリランカ料理のお店でしょう?という認識でした。あれ。看板焼き肉になってるよ、、、「焼肉」という要素は一切気が付いていなかったんです。で、件の看板を見て「!?」と固まったわけです。カレー、あるのかな、、、
白塀に黒瓦の門構えの「セイロンフレーバー」。庭先にクルマを乗り入れます。真っ暗で、道を進むことを憚られる気分ですが、店の角に強烈な眩しさのライトが光ってます。アレが目印か、勇気をくれるなあ。
建物は「そうそう、こういう感じ。スリランカに行った時にこういう感じのおうちいっぱい見た」という感覚の平家の民家然としたもの。駐車場というより庭先という感じの場所にクルマを停めました。特に線など引いていないので(真っ暗だったから見落としたかな?)なので他車のことも考えつつそれふうに停めてみます。
敷地は結構広くてね、庭の真ん中に木が1本立っていて、それを中心にロータリー状となっています。なぜかそのロータリーを中心に小さな建物が囲むように建っているんだよな。なんだろうこれ。
あ、これ、そうか。なんかピンときたぞ。むかしむかしの、、、そうかそうか。なるほどそうかあ。察し、、というやつです。
どうしてこの立地なのかも全て理解できました。そしてその後、焼肉屋さんになったのだね。そのあとに今があるんだね、そういうことだ。
元々の焼肉店の看板が端に立てかけてありました。その名も「焼肉ホルモン 石庭」。うむ、確定だ。大体全部わかったぞ。
なるほどねえ。面白いなあ。ちょっとしたプロファイリングごっこだねえ。ああおもしろい。
さてと、店内は本当に民家そのもので、玄関があって靴を脱いでスリッパに履き替えて入ります。入りづらいぞ(笑)「セイロンフレーバー」のHPで自ら「まだまだ入りにくい店構えではありますが」なんて書いててそんなところでも好感度が上がります。応援したくなっちゃうよね。
スリランカンのお母さんがひとりでお店番をしていました。
ホールにはテーブルが4席。別の部屋は座敷になってました。まさにひとんちでおうち焼肉状態です。すごいおもしろい。
メニューを眺めると、いや、短冊だな、壁の短冊を見るとハラミが700円でそれ以外のお肉やホルモン、野菜はは一律500円と格安です。250円セットというのがあって焼肉を頼むとこれをつけられます。これがすごい。ごはん、味噌汁、キムチ、ナムル、サラダ、にたくわんなど食べ放題。あらら、せめて倍の値段つけてえ。
それとソフトドリンクで驚いたのが大と小というのがあってね、それぞれ250円と150円。なんと大はデカペットボトル。1.5リットルサイズなんですよ。ここらへんは全てセルフ。そしてメニュー全部やすい。驚いた。
さあ、まずは焼肉です。ハラミとカルビ、野菜盛りを頼んで250円セットもつけます。お母さんが用意をしてくれます。卓上の小さなロースターがいい感じ。高円寺の大衆焼肉のあのお店を思い出すなあ。250円セットのごはんやキムチも取りに行きましょう。
あ、お肉、おいしい、うれしい。
街の焼肉屋さんといった風情のお味で、いい感じにおいしいんです。おいしすぎない、高級すぎない大衆焼肉といった感じで、うん、こういうのいい気分。リラックスして楽しめます。
あたしゃね、お肉はこういう感じが好きよ。大衆店の気取らない、飾らない、でもタレの漬け込みはがっちりこだわるこういう感じ。このちっさいロースターでちまちま焼きながら食べていくこの感じ。ひとりとかふたりで焼肉というこの感じ。これがいい、とてもいい。
で、カレーですよ。カレーあったよ、ホッとしたよよかったよ。
メニューが楽しいんだよね。シーギリヤとかペラヘラの写真と共にカレー、ロティ、ブリヤニなどが並びます。もちろん焼肉メニューも、黒霧島もデザートのパフェも載っています。なかなかの振り幅の広さにめまいを感じます。いい、いいねえ。
適当なところまで焼いて、食べて、満を持してのカレー注文。
「ポークカレー」
を頼みました。
スリランカのポークカレー、ゴラカ(タマリンド)やカラピンチャが入った黒めに仕上がるあれが出てきましたよ。おお!よしよし待ってました。えらくおいしいのが出てきました。
オーバルの陶器の深皿で出てきたんですが、量もたっぷりあるのにこれを500円で出しちゃあダメだよ、と心配になります。
ひとくち食べると。
うわ!おいしいなあ。甘みに寄せず、後味にちょっと苦味を感じさせる奥行き深いもの。これ実に実にうまいな。
それで、せっかくなので、と250円セットのブッフェコーナーに行って同じくオーバル皿を見つけて持ってきました。野菜盛りをじゃんじゃん焼いてごはんと共にさらに盛り付け。たくわんも乗っけてやります。カレーをたっぷりとかけて、さあ完成。これは楽しいなあ。
そうだ、焼肉乗っけたらどうよ、なんてことも楽しめます。結果は焼き肉の味に持っていかれる感じ。これはやめておこうかね。が、焼き肉用のタレが少し混ざったところを食べると、うん、なかなか。ちょいとクセになるなあ。
他にもブッフェコーナーにはおろしニンニクやマヨネーズ、ケチャップ、醬、タバスコやポン酢など各種調味料があるので面白い調整もできるかもしれません。こんなことができるお店は日本のスリランカ料理店広しといえど、おそらく他にないはずです。
とはいえわたしは素のままのこのお味がおいしくて、それを楽しみたかったのであまりいじらずに食べました。
焼き野菜乗っけたのは、成功。
入った時はここのお母さんが一人で店番、料理を用意してくれました。途中でお子さんがちょっときたり、お父さんがおそらく自分のごはんだと思うんですけどよそりにきたりして、本当にどこかのお家でご飯食べてる感じになって面白かったなあ。かなりよかったなあ。
帰り際にお父さんが会計をしてくれて二言三言ですけどおしゃべりができました。
おいしかった旨伝えたらとても喜んでくれました。ランチタイムにもきてみたいもんです。
渋谷のあそことは立地も違うし何より成り立ちが違っています。そこがすごく興味深いしいいなあと思います。
焼肉とスリランカカレーってサイコーだな。