猫六が10周年を迎えたんです。そうかあ、あっというまだなあ。
カレーですよ。
仲良しのカレー友から誘ってもらってはじめてお邪魔して、芳谷シェフとおしゃべりして。そうか、つまり彼女とも10年どこじゃないってことだ。ご縁だねえ。わたしが13年続けている雑誌連載の26回目、2014年7月号(2014/5/26発売)にも芳谷シェフ、登場してもらったことがありました。
あそこから、あの記事からもう10年たったかあ。あっという間の10年、されどの10年。その間にコロナの3年を挟んでの10年です。とにかく年々厳しくなる東京の飲食個人商店。その状況、理由を言い出せばキリがないのですが、とにかく続くお店が多くない。そういう中での10年はほかの10年とは価値が違うんです。そういう中を生き抜いてきた、
「Spice BAR 猫六」
というお店には大いに価値があるわけです。
もちろんもっと古い店もあるかもしれません。が、スパイス料理で飲ませるバーというジャンルの草分け、ベンチマークになっている店のひとつという言い方は間違っていません。当時あまりなかったその業態のことについて芳谷シェフが色々考えたり悩んだりしてらっしゃるのをその場でみていたから。
この夜の猫六の店内はいい空気だったな。見渡せばわかります。いや、見渡せないくらいの混雑だったね。
みんなが芳谷シェフにおめでとうを言いたくてわざわざこの夜を選んでやってきているのがよくわかるもの。
料理、やっぱり旨いのです。漬物がきっちり旨いしチキンティッカは好みの白(クリーム仕立て)だしね。飲み屋さんだからつまみがうまい、いいねえ。カレー数種ももちろんご機嫌なのは言わずもがな。タップから注がれる柑橘のクラフトビール、うまかったなあ。どの料理にも、どの酒のセレクトにもきちんと芳谷節、というものが出ていてね、気分がいいんです。
お客たちも心得たもので席がいっぱいになると入れ替わって帰ってゆきます。よい客たちなんだよね。
よい客がつく店ってのは当たり前、よい店に決まっているもん。どうにも居心地がいい店。
10年目のことをもっと聞きたくて、取材を申し込んで帰りました。
芳谷さん、ありがとう。