カレーなしよ(神楽坂 草原の料理 スヨリト)モンゴルの地平線を想いながらの羊煮込み。

羊を食べようじゃないか、と思ったのですよ。いつだったか見て覚えていた専門店。あそこにいってみよう。

 

 

カレーなしよ。

 

 

モンゴルの伝統的食羊文化を存分に味あわせてくれるお店なんですよ神楽坂からそれなりに歩いた先にあります。お店、間口は決して広くないんですが2階にはテーブル席もいくつか用意されていて、小さな羊パーティーなどもできるみたい。ああ、いいなあ、それ。丸焼きとか頼めるらしいです。

まずはランチで偵察であるよ。ちょっと変わった響きの屋号。

 

「草原の料理 スヨリト」

 

といいます。「草原の料理」!いいサブタイトルだねえ。

内モンゴル・ウランホトから来たオーナーシェフのお店です。なんとなく顔を覚えていたのはあの味坊グループであったかしらね。たしか鉄鍋荘でお顔を拝見したような。どうであったかな。あそこから独立したらしいです。

メニュー、大変興味深いよなあ。最近ではあんまり事細かに調べてから出かけるのは野暮である、と決めつけて住所だけを頼りに出かけることが多いんですよね。それだけに初見の驚きと面白が大きくなるのが堪えられないわけです。調べていくの、もったいないよな。

メニューの話しでありました。メニューには日本語の文字のみという情報量です。ここからたとえばわたしは少しでもカレー的なものを想像してそれに沿ってメニューを想像し、注文するわけですよ。しらんけど(笑)。やはりカレーとくれば汁物とごはんでしょう。そういう安直な理由で選んだのが、

 

「ラムバラ軟骨肉の煮込み / ライス」

 

というもの。かろうじて煮込み物にライスのつくセットとわかります。味もビジュアルも見ずてん。こういうのが楽しいのだぞ。

かなり迷ったんだけどね。いや、全部魅力的。

 

「ラムスペアリブの蒸飯/草原のミルク茶」

「スープで食べるラム水餃子(5個)/ラムスペアリブの蒸飯(小)」

「ラム焼餃子/ライス」

「草原のケバブ/草原のミルク茶」

「自家製麺のラムスープラーメン/ラムスペアリブの蒸飯(小)」

「ラム肉ミートパイ/自家製麺のラムスープラーメン(ハーフ)」

 

などいう感じ。

ちょっとどうすればいいかわからなくなっちゃう。それはつまり「草原のケバブ/草原のミルク茶」はご飯とかパンがつくのかどうか。ミルク茶とはなにか、とかね。ほらなんか楽しくなってくる。

目の前では夜の仕込みも進んでいるようす。そういうライブ感あふれるキッチンをカウンターの外から眺めつつ料理を待ちます。

さあ、登場。「ラムバラ軟骨肉の煮込み / ライス」だよ。

シンプルだな、煮込みとごはん。

 

それに付け合わせの干し豆腐の冷菜、とこれなんだ。お餅かパンか。どうやら「バターで炙った蒸し饅頭」というものらしいです。シンプル、と言ったけど食べるととてもいいんです。素朴、と言ってもいい味ですが羊の旨味が全体に廻っており大変滋味深いんです。

お肉は食感良く、軟骨というよりもゼラチン質に近い舌触りかもしれないな。軟骨の周りについたお肉もやってくるわけで、こっちもおいしい。

バラ軟骨肉は不思議なほど羊のクセがありません。かと言って手応えがないわけではなくてね、羊らしさがきちんと残してあるこのバランス、ああ、ずごいぞこれ。これはたぶんお肉を扱うにあたっての手間がだいぶん掛かっているのではないかしら。肉は下処理だけで驚くほど変わるからね。

スープはまるまる1日煮出した羊骨スープらしい。味付けは素材の方の風味がちゃんと勝っているバランスで、控えめだけど的確なスパイス遣いを感じさせます。派手さはないけどどんどん引き込まれるような、そういう魅力を持っています。ああこりゃあ素晴らしいものだ。

かなりの満足感です。

もちろんこれはカレーではないよ。ただ、汁かけごはん、汁ひたしごはんの根源的楽しみがあったなあ。たまらぬおいしさ。他のメニューも強く食べてみたくなります。

夜もチャンスを作らねば。