カレーですよ5494(長野松本 ハンジロー OneStyle)松本にある特別な味。

ちょっと残念だったことがあったんですよ。少し前に松本市の井上百貨店本店で行われた「東京カレーカルチャーin松本」に出かけたときのこと。3月初旬くらいだったかな。

 

 

カレーですよ。

 

 

さいわいその日は雪には見舞われず、スタッドレスもタイヤチェーンもいらずの快適な旅でした。

松本、いいよね。落ち着いたいい街で好きですねえ。路地裏にいいお店もたくさんある。

それで、イベント。

 

「東京カレーカルチャーin松本」

 

なわけですが、なかなかに楽しかったんです。わざわざ松本駅前の井上百貨店本店までやってきた甲斐があるってもんでした。

それでね、じつはお目当てあったんだよね。「スープカレー ハンジロー」の「グラタンスープカレー」をね、たべたかった。みんながいい、いいってすごく言ってたから。結論から言うと食べ逃したのであるよ。売り切れです。それでイベントでは食べられずで店舗ももう夜遅くなっちゃってたので喫食機会を逃しちゃったと言う話し。あやうくカレーチャンスそのものも逃しそうになってヒヤリとしつつ「松本メーヤウ桐店」に助けてもらって夕食を得ました。そんなほうほうの体で松本を後にしたわけです。

それで、今回再挑戦でしたがときすでに遅し。「グラタンスープカレー」は季節メニューであり、終了していたわけです。それでも、

 

「ハンジロー OneStyle」

 

には必ず行ってみたかったのよね。ちいさな慎ましいお店でした。とても感じがいいです。まずね、ロケーションがいい。中心街から少し離れていて立地が狭苦しくないんです。あがたの森公園に面していて緑の木々と旧制松本高等学校のクラシックな建物が大変趣深くゆったりした空気が流れています。そのよこに「ハンジロー OneStyle」があります。食べた後に旧制松本高等学校少し覗いて行きました。素敵な建物だった。

店内はテーブル二人がけのテーブルひとつとカウンターの6席くらい。8人で満員というところ。狭いのは狭いといえますが、快適なんです。高い位置にある光鳥の窓も功を奏している感じでナイス。人気店で小さな店なんだけど受付機などが備えてあります。ご店主ひとりでのオペレーションに対応してのことかと思われます。そしてなんと幸い、タイミングよく並ばずに入ることができました。

 

注文、迷いに迷ったんですが、

 

「香草たっぷりキーマライス&ハーフスープカレー」

 

としてみました。これが結果、大正解。

ハーフスープカレー、うわー、おいしい。すごくおいしい。ニンジン、じゃがいも、ピーマン、ゆで卵半割りなど種類は控えめですが大きなものが入っています。スタンダードな札幌スタイルの具材。が、どれも一辺倒に素揚げではない様子です。これ、丁寧な仕事だわ、そういうのがみて取れます。

カレーソースはスープが、出汁が、大変に深く抽出されているんです。旨み深く、しかし軽やか。このバランス、これはすごいなあ。穏やかなんですがその底に力を感じるようなものが隠れています。あえて、あえていうけどね、町田のアサノのカレーソースに近似性を感じたんです。とにかくうまい。いい、すごい。スープストック、大事に作っているんだろうなあ。

そして驚きのキーマライス、はっぱごはんであるぞ。パクチー、大葉、三葉に浅葱、ビーナッツに松の実と葉っぱとナッツがこれでもか、とのっています。その中央には肉の味をきちんと生かし、あまりいじらない調味で仕立てたキーマが鎮座。すごいなこれ。

ビジュアルでオクシモロン(未だに珠玉じゃなくてえーと、、と言ってしまうダメ人間なあたしだよ)とかいう人もいるかもですが、そっちじゃなくてアンドシノワーズの葉っぱのごはんを思い出すかんじ。それくらい葉っぱごはんだしインパクトがあります。

なんだか例えばかりで恐縮なんですが名状し難いその味はわたしの誤謬ではなかなか表現しきれません。そしてこの二つ、やはり合わせて食べてなんぼなのです。もちろん単独でもおいしいわけですが、一緒にしてやるともっともっと力漲る感じに。いや驚いた。本当にいいカレーだよこれ。

そして同行のうちの奥さんが食べたこっち「小籠包風肉汁ラビオリと野菜のスープカレー」。これも絶品だった。肉汁ラビオリ、ものすごい美味しい。本当に手間かけてるなあ。

少しだけ極私見、感想をいうとこのカレーはスープカレーという名前をつけなくてもいいかもなあ、という話し。世のイメージのスープカレーはクリアスープが土台で粘度が極低い、という感じでしょう。ここのカレーはきちんと煮込み料理寄りになっていてスープカレーからもう少し煮込み料理としてのカレーに踏み込んでいる気がします。

多分、生真面目な店主がスープカレーの方程式というよりも、自分の感性を以て腹の中、頭の中にある自分だけのベストな「おいしい」を追求、結果方程式なぞほっておいてそのラインを自然に踏み越えてこの美しく美味しいものを完成させたのではあるまいか。そんなふうに思ったんです。

それと嬉しかったのが「自由である」こと。

テーブルに小さなPOPが置いてあるんです。「スープカレーの食べ方」というもの。

「スープとライスを交互に食べる」「1サジごとスープをライスにかけて食べる」「ライスをスープに浸して食べる」

「基本的にスープカレーの食べ方は自由です。是非、自分流の食べ方を探してみて下さい」

とありました。とてもうれしい。なんか、握手したくなるよ。

食べ方の指南を書いたスープカレー店は多いですが、わりと「ごはんをスプーンに乗せてスープに浸して食べてください」というのがあるでしょう。もちろんこれが美味しいからやってみてね、というサジェストだとわかっているんですけどね、なんだか強制を感じることが何度かあったなあ。このお店にはそれはないです。とても気分がいいんです。

このPOPを見て料理人である店主がわたしと同じで「食べ方は勝手にしな。美味しいやり方を好きにやんな」というスタンスなのが本当にうれしかったんだよね。あたりまえだよね、それ。その2点を見るにスープカレージャンルでとどめてしまうのは惜しいと思ったんですよ。本物のオリジナルがここには間違いなくあります。

 

木曜日の安曇野にもぜひ足を運んでみたいなあ。