カレーですよ4759(兵庫県三木市 道の駅みき 和食レストラン)郷土料理、鍛冶屋鍋がカレーに変身。

明石とくればタコ。地元産のタコとナスを使った名物料理が鍛冶屋鍋。初めて聞きました。そういうのがあるのかあ。

 

 

カレーですよ。

 

 

それでね、これがなかなか面白い由来を持っているんです。

 

今回、仕事の案件で出張、兵庫県三木市にある株式会社小林木工様におじゃまをしたんです。

金物、大工道具で有名な兵庫県の三木市。鍛冶職人が集中する地域なわけですが日本で最初の金物の町と言われているそうです。

その由来、五世紀半ば、この地方にもともとあった大和鍛冶と、百済の王家子孫が亡命の折同行していた韓鍛冶が出会い、技術交流を持って始まったとされるそう。むかしむかしの国際交流ですね。

その後、天正六年の羽柴秀吉の三木城攻めで敗れた三木城主は自刃。戦争で荒れ果てた三木の町の復興をと羽柴秀吉がとった策が免税政策。戦争から逃れた人を呼び戻し、町を復興させるために大工職人がたくさん集まりました。なるほどのアイディアです。鍛冶職人たちも戻り、彼らの仕事が増え復興がなされました。

町が復興して賑わうようになるとたくさんいた大工さんたちの仕事がなくなり、職人たちは他の関西圏に出稼ぎに出ます。その時彼らが携えていた三木で作られた大工道具が評判を呼び鍛冶の里として、、というのがストーリー。

ちょいと長くなりましたが興味深いでしょ。

株式会社小林木工は木材加工、家具製造販売の会社です。三木市の鍛冶職人が集中する大工道具の里という歴史的なバックボーンのその中に株式会社小林木工も重要な役割を果たしているのです。

創業の前後、大正時代のこと。もともと刃物の産地である、この地で刀鍛冶、刃物職人、鍛冶職人さんは多かったわけですが、鍛冶屋は鍛冶屋なわけで鉄を扱います。そして道具には持ち手、把手が必要なわけです。

創業時代の小林木工所はそこに目をつけて鉋(かんな)の鉋刃と鉋台という2つのパーツからできている鉋の台の方を作って道具として完成させ名品を生み出してきました。わたしの亡くなった父が水道屋で、昔の水道屋だからわりと配管以外の簡単な大工仕事も受けてたりしたんです。それで知ってるんですけど、鉋ってのは鉋刃だけで成立しないんですよね。いくら刃の方が切れ味良くても鉋台がきちんと正確に面が出てたり角が出てたりしないと使い物にならないわけです。道具ってそういうもんですよね。だから小林社長にお話を聞いて大納得だったんです。

 

その後株式会社小林木工に組織変更を経て量産襖、戸襖の製造や木製建具、家具の製造へシフト。鉋台のその技術で今に至ります。

そんな歴史や職人さんたちの想いを拾い上げるのが今回のわたしのミッションでした。

そんな三木の町で鍛治職人たちがその体力維持のためにがつがつと食べていたといわれるのがその「鍛冶屋鍋」というもののの根っこなんですって。タコとナスのすき焼きとも呼べるそれ、今ではなかなか食べられる店も減ってしまって。その伝統を源泉にご当地メニューとして新しく考案されたのがこのカレーなんですよ。

いやこの流れ、なんか面白いぞ、楽しいじゃないか。

で、たまたまですが、お昼に小林社長に連れて行ってもらった「道の駅みき」の食堂でそういうメニューを発見しました。

 

「鍛冶屋鍋カレー」

 

です。さて、カレーの時間だよ。

カレーソースは欧風的なデミグラスベースの様子。ご飯、ちゃんと美味しいのが大変いいねえ。甘味とふくよかさ感じるご飯で嬉しさ込み上げます。カレーのご飯は大事だよなあ。

唐揚げにしたタコが入っていて、これもまたとても旨いんです。ナスは素揚げで元のナスがいいからだよね、シャッキリしていて好感が持てます。

鍛冶屋鉄鍋、あつあつに熱してあるのでね、ご飯が香ばしくおこげになっていました。

ああ、なるほどこれはちょっといいぞ。

 

「鍛冶屋鉄鍋」と呼ばれる角形鉄鍋、これ、欲しくなってきてまして。別体式のハンドルがつくところといい、角形の収納性に富むところといいアウトドアにぴたりとくるじゃない。ホントにこれひとつ買おうっと。ECサイトを探してみよう。

全体的に上出来といえる良カレーでした。バランスが良くて、つまらないカレーライスになっていないのが実力を感じさせます。

サラダはいやみないキャベツスライスに和風青じそドレッシング。これもいいよね。漬物もあくまで和風でそこも納得がいくし。ご飯がうまいので漬物だけでご飯食べたりとかそういうこともしてしまった。うーん、白メシ漬物サイコーです。

ご当地カレー数あれど、これは上の部類ですな。帰りに寄れたら鍛冶屋鍋と肥後守を買って帰りたいものだ、なんて思ってたけど忙しくて無理だったー。実は肥後守、鹿児島ルーツと思いきや、鹿児島への出荷が多いからその名になったとか。三木市が元祖なのです。

 

お仕事でお邪魔したんですが、この土地、三木市のことがすっかり好きになって、興味がどんどん出てきました。