カレーなしよ(群馬太田市 かわとみ)ちがう。鰻じゃない。これは、茄子。

行かねばと思っていたのです、茄子食いに。カレーじゃなくて茄子食いに。茄子のために群馬に行くんです。ちょっと変わった茄子の食い方を知ったのです。

なんだったっけかな、例によってインターネットのなんだかなんですが、、あっと、思い出した。ロケットニュース24の古沢記者の記事だったな。古沢記者はグンマーでありグンマーネタを連発してくれるライターさん。わたしはその影響で「群馬、ちょっといいかも」とか思い始めているわけです。それで、茄子焼いて重箱に詰めてうな重みたくして出しているという情報を頼りにやってきたわけです。

田んぼばっかりの中に農道らしさ溢れる正しい農道が一条はしっております。その際になんだか木立に埋もれている感じでぱっと見ではほぼお店は発見不可能な感じの、とはいえ派手な塗り分けの店頭で発見できたのがここ。

 

「かわとみ」

 

です。

壁に貼られた説明を読むと、イートイン希望のお客はここで注文と支払いを済ませて裏に回って席につき、出来上がりで呼ばれるのを待つらしい。なるほど、よし、では。

注文は迷わず

 

「なすの蒲焼重」

 

です。そのためにここにやって来たんだもの。

あとで気がついたんですが、価格差500円の「極上なすの蒲焼重」もあったんですよね。うむむ、そっちにすればよかったかしら。

しかしやはり初心者は看板メニューで肩慣らしをすべきでしょう。これでいい。

メニューには一応すべて目を通し、カレーの文字がないことを再確認。これで安心。いやね、カレーってのは本当にどこにでもするりと潜り込み、同化して潜んでは我々を驚かせようと常に待ち構えているわけですよ。油断ができないのです。太田焼きそばも非常に気になったんですが、そっちは塩崎さんに任せておけばよいね。そりゃそうだ。しかしポテト焼きそば良さそうだなあ、、

外の売店型の窓口で注文を終えて店内に。細長い建物で両側に窓ずらり。左右にテーブルが1列づつ並び、その様子は列車の車内のようです。ちょうど古い食堂車で食事をしている気分になるんだよね。ちょっと楽しい。片側は田んぼの緑が眩しいです。もう片側は屋根のあるテラス席になっており、雰囲気があります。

さあ、わたしの「なすの蒲焼重」がやってきたよ。本当は取りに行かなきゃいけないんだけど耳よく聞こえないから聞き漏らしたかな。お店の女性が持って来てくれました。ありがとう、ありがとう。

で、これが驚きのビジュアルなんだよ。

 

お重のふたを取ると驚異のうな重感、もうこれうな重を越えてるうな重感がある。えっ!?なにこれなんだこれうなぎだし!!自分の脳が騙されているのがよくわかります。

「うな重来た。でもこれナス。でもうな重、、、ナス、、、」うむむ、これはえらくおもしろいぞ。

食べようとナスに箸を伸ばすとその下から鶏肉がコンニチハ、です。おお!なるほどこういう構造か。お重の底から順に、白メシ、タレ、きざみ海苔、鶏肉、なす蒲焼、というふうに重なっているんです。鶏肉はもも肉のようで皮付きでした。焼いたものではなく蒸し煮のようなぷるんとした仕上がりでなかなかいいんですよ。

なす蒲焼、とても美味しいです。あっさり、ふっくらしていてほんのりと優しい香りと味。タレ焼き風の仕上げで香ばしいんです。鶏肉もあっさり仕上げ。下味きつすぎず自然な味わい。上品だねえ。タレはさらりと軽やかでちょっと拍子抜けするくらい。いや、これはうな重ではないんだってば。脂が乗ってるとかそういうんじゃないんだよ。だからこれでいいんです。逆に重くなってはうな重と同じになってしまうからね。そのビジュアルにいちいち脳が騙されるのでうなぎと比べてしまうんだよこれ。そこが、面白い。自分が面白い。

漬物の味のトーンがいい感じにちょっといなかっぽいというか、甘さ強めの白たくわんと塩気のあるきゅうりが殊の外、あっさり味のなす蒲焼によく合うんです。味噌汁もしっかりした、しかし穏やかなものでよかったなあ。おいしかったなあ。

タレと山椒がついてくるんだよね。カジュアルな感じで好き。

山椒を振るとますます脳が騙されて楽しいんです。舌に乗っかった瞬間まで騙されて、歯をいれると気がつくという感じ。いやもうとても楽しい。おいしかったし遠くまで食べに来てよかったという気持ちが残りました。それ以上に思ったのが、可能性。これ、比較的簡単にハラール対応にできるんじゃないだろうか。そんなことを考えちゃった。

もちろん厨房設備や知識など必要ですけどここではない場所でハラールメニューに入れられそうだと思ったんです。同じくで、鶏肉部分の動物性ではない他の食材での代替えなどするとちょっと面白いものができそうだし。ビーガン対応。色々な可能性を感じてしまったよ。

 

太田の田園に「なすの蒲焼重」あり、なんであるよ。とても価値があるんです。