しばらく前にGoogleマップで見つけて気になってピンを打っておいた場所があります。けっこうな里山的場所。ベジでスパイス料理を出すお店は丁寧で良いものが出てくることが多いと感じているんですよね。
カレーですよ。
たまたま昼メシを食べ逃しちゃって途方に暮れていた桂川あたりの15時半。高尾、相模湖を通り過ぎて上野原のあたりでした。運よく思い出して、運よく営業日。カフェ営業だから通しの営業時間。よしよし、あのピンを打ったお店に行ってみよう。
坂の下の駐車場にクルマを停めて歩いてお店に上がります。あった。ああ、いいお店。そういう予感がします。
「シロテナリ」
という看板が小さく控えめにありました。
店内がとても雰囲気があって素敵でね。うーん、どう伝えようかしら、古いのではなくて、懐かしい。そんなふうに言うと近いかな。心なしか店の中の空気がアンバーがかって見えたのは夕方近くの光のせいなのか、それとも気持ちのせいかもね。
お店の女性が料理を丁寧に説明してくれることに好感を覚えました。素敵、カッコいいカフェは中の人までカッコよすぎちゃう感じのところもあって、そういうのちょっと難しいです。彼女はとても自然体でそれがとても気分がいい。深呼吸ができる感があります。
3種ある中からBのカレーを、、じゃなくて、
「野菜のドライカレー風」
とありました。それをお願いします。
野菜のミニ惣菜やサラダ2品ほど、ミニスープ、酵素玄米という内容。
さて、まずミニスープかな、これ。これはうん、素晴らしいぞ。
野菜を叩いたようなすりおろしたような爽やかで清涼感強い冷製のこれは、スープというべきかしら。それともサラダという言い方もできそう。いや、近いのは冷や汁かもしれない。すごくおいしいです。いいなあこれ。
カレーは野菜のキーマといった感じの、サイズ合わせをしてカットした野菜たちの食感楽しいもの。キーマは挽肉っていう意味じゃないよ。みじん切りの意味です。極端なスパイス遣いはせず野菜をちゃんと大事に引き立てるために使っているのが伝わります。大変おいしく仕上がっているね。
ごはん、うむむ、これ特筆。酵素玄米を使ってらっしゃるんですが、これがすごく香りがいいの。これだけで一品料理の風格すらあると感じます。少しのお塩でこれだけ食べてもきっといいはず。いや、すごいものが出てきちゃって静かに興奮しました。
カブとニンジンは糠漬け。綺麗な色で、果物のようなピクルスのようなニュアンスがある爽やかな酸味が楽しい。それと添えられた緑の野菜、こんなに幅のある味と食感だったか、とハッとしました。苦いものはちゃんと苦く、香りがきちんとあって。とにかく葉っぱがただ無造作に皿の上にあるのではなくてね、そのまま畑での輝きが残る立派なもの。それが皿の上に来ちゃってて輝くんです。すごいぞこれ。路のものの野菜だそうで、ちゃんと地域と寄り添う姿勢は好ましいですね。
飲み物、ジンジャーラテをホットで。
外を歩いて少し汗をかいた日はアイスじゃなくてホットがいい気がしたのです。ガラじゃないけどね。美味しい、気分がいい。
いつもだとこんな素晴らしいお店に出会うとかなりの枚数の写真を撮ることが多いんですが、このお店では不思議とそういう気持ちにならなかったのです。店内そこここがどこを切り取っても素敵なんだけどね、なんというか、写真を撮るのを憚られるような、いや、そうじゃなくそっちはいいからリラックスすればいいんじゃないの、という声が聞こえてくるようだったから。それはつまり気分がいいな、ということ。
たまにはこういうちゃんと野菜を食べさせてくれる店に行くべきだし、リラックスってのは欲しくて得られるもんじゃないからこういうときはゆっくりと。
からだがそう言って喜んでいました。