カレーですよ5131(新宿 パトワール)雨の新宿弁当。

その日は深夜まで仲良くしてくれている店の店主と路上にいたのです。深夜、路上で取り止めのない長話し。

 

 

カレーですよ。

 

 

都市間高速道路のインターの手前で待ち合わせて人気のない路肩にクルマを停め、彼のクルマに尻を移して長い四方山話をしたのです。楽しい、すごく。

こういうの、まるで19はたちのクルマ好きの小僧のような時間な訳です。これがたまらなく楽しい。いくつになってもこういう感じは忘れたくないし、忘れるつもりもないんです。彼も同じような昔のままさ、という空気を纏っていてね、なんだか魅力的なのだよ。

てっぺんまわってちょいと遅くなったな。彼を解放してあげないと。このあと高速に上がって海の方へ行くというので引き止めるわけにはいかないんです。深夜の雨の中、ランプを上がっていく彼を見送ってわたしもエンジンをかけます。腹、減ったな。

強くなってきた深夜の雨の中、久しぶりになってしまった新宿のカーンさんの店へハンドルを向けます。

 

「パトワール」

 

はお気に入りのお店。が、ちっともお店で食事をしていないんだよな。もっぱら弁当を買って帰るばかりなのです。その弁当ってのが美味しくて仕方ないから。弁当を買いに来るわたし。カーンさんとわたしの間ではもうそれが当たり前になってしまったよね。

お店の前には歩道橋があります。文化女子大前の歩道橋だね。その真下にクルマを停めて店の中を覗くとカーンさんの顔が見えます。わたしに気がつくと、いつものでかい笑顔を返してくれます。それだけで気分が良くなるんだよ。

カーンさんの笑い顔は、なんというのだろう。花のような笑顔だと思う。男性に向けてそんな例えどうかと思うんですが、いつもそう感じるから仕方ない。まつ毛が長く、優しい目をしたカーンさんが笑うとほんとうに友愛が迸るように伝わります。あれがどうにも魅力的で、嬉しくなるんです。屈託のない、という言葉でもいいかもしれないな。

今晩もまた弁当くださいというだけでC弁当が作られます。間違えられることなぞないのです。それしか頼んでこなかったから。C弁当、ドライカレー弁当はとにかくうまい。ドライカレーといいますけど、たしかにグレイヴィタイプではないのだけど、ドライというほどではないかもね。ちょいとねっとりする感じが日本人のカレー感に合致する感じがあると思ってます。

部屋に戻ってふたを開けるとパトワールの深夜の店内の匂いがします。カーンさんの笑顔が浮かぶんだよな。これが好きで、この感じが欲しくて、深夜にこれを自分の部屋で開けるのが嬉しくて、また買いに行きます。

そうやって通い続けてどれくらい経ったかな。