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くわちゃんねるのくわちゃんの投稿を見てたまらずに高円寺へ向かったのです。そうだった。スパイスカレーとかカリーとかではない、「カレーライス」というものはこういうものだ、という体現。高円寺にもあったんだった。
カレーですよ。
なんだかんだと巡り巡って「カレーライス」が大好きです。カレーって素晴らしいと意識、覚醒したのは若い頃に巡り合った「アジャンタ」と「ナイルレストラン」でした。その出会の後にかたっぱしから「カレー」と名のついたいろいろな料理を食べてきました。でも、ひとは初めての出会いに戻るものだな、と思います。
覚醒の前、というものがあります。そこに戻るのです。プロトワン/フィアナの記憶を遡るシーンが蘇ります。原初のあれはなんだったのか、それは、「カレーライス」。やはりカレーライスにはかなわない。
高円寺には「クロンボ」、「ニューバーグ」があります。いずれも洋定食の店。そして、
「タブチ」
がある。「タブチ」も同じく、です。
中央線生活の時代に「タブチ」には随分と世話になってきました。まず、とにかく安くてとてもありがたい。そしてきちんとボリュームがある。いうことがないのです。お店は古いけど、そこに独特の自由な空気があったと記憶しています。なんと言ったらいいのかな、難しいな。でも「自由」でいいと思います。
おとうさんが亡くなって存続の危機もあったのですが、おかみさんがひとりで回してくれるようになりました。昔よりも笑顔があって、なんというのか、いろいろと思いが込み上げてきます。大事にしなけりゃいけない店です。
高円寺はガード下。「元祖仲や むげん堂 本陣」がJRの都合で移転となったのは大変腹立たしかった。不幸中のさいわいは高架下を阿佐ヶ谷に向かってむげん堂とレコード屋の先はいじくられなかったこと。耐震補強だけはしたようですが、今もそのままの姿で往時の雰囲気が残っていてホッとします。そこに欠かせないお店が「タブチ」なわけです。
タブチは中野と高円寺にありました。中野はなくなってしまったな。わりと中野のタブチに行く頻度が高かった時期があったんです。中野駅の線路沿い目の前ということもあって、メシを食らいに行くとよく営団地下鉄（当時）の職員さんが制服のまま定食を食べているのを見かけてました。
カレーはいくつか種類があります。
カレーライス450円（！）、カツカレーライス650円（！！）、スタミナニンニクカレーライス650円、牛丼＆カレーのW盛り合わせ750円。それぞれ250円プラスでサラダと味噌汁のカレーセットがつけられます。辛口も50円増しで可能。なんともはや驚くべき価格でしょ。昭和ではないぞ。2024年現在の価格だよ。
わたしは、店の外の券売機の前でしばし考え、
「スタミナニンニクカレーライス」
にしました。さいわいこのあと明後日まで誰にも会う予定がないからね。そしてこれがどうにもうまいんであるよ。
おそらくスタンダードなカレーライスにニンニクおろしをダッとくわえて少し火を入れてやるだけな感じなんじゃないかな。そういう味です。そういう味が好きなんであるよ。
肉は少ないながらサイズデカめの肉でこれもガチッとうまいんです。愛ある煮込み肉が入っているなあ、と思わせてくれます。福神漬けも赤く、甘く、いうことがないね。
650円。これでとやかくいう輩をみかけたら神様にかわってわたしが天誅を食わしてやるつもりであるよ。
尊いカレーライスなのであります。
