【コラム】(福島大沼郡昭和村 旧喰丸小学校)昔の、木造の、小学校。

福島にいってきたんです。行ってきた、というのは不正確かな。いや行ったんだけど。いつも通りなんですが、旅というよりもいつものちょっと足を伸ばす感じの移動の積み重ねで会津若松にたどり着いた、というところです。

日光に食べたいものがあって出掛けて来たんですが、珍しくその朝は早起きとなって、結果早めに食事にありつけました。鬼怒川沿いの「篠」何度行ってもサイコーだなあ。

カレーなしよ(栃木塩谷町 とんかつ ステーキ篠)今日はハンバーグ。でもニンニクたれは追…

そこでポカンと空いた時間をどうするか、となったんです。ちょいと色気が出てもうすこし先に足を伸ばそうとかんがえまし。面白い場所はなかろうかなど地図を探しているうちに古い廃小学校をリノベーションして魅力的なものにして残しているという場所を知ったのです。よし、ここをみたいぞ。

やって来ました。「喰丸小」というんです。正確には

 

「交流・観光拠点施設 喰丸小」

 

といいます。旧 喰丸小学校を改修、2018年4月に開館。

昭和村というところにあります。なんというか、まさにそういう時代の建物でその名の村にここがあるのがフィクションのようにさえ感じられるんですが、夢ではないのです。

喰丸小の木造校舎は1937年(昭和12年)に建立、80年(昭和55年)に廃校となりました。92年から06年まで「喰丸文化再学習センター」の名前で活用。2013年には映画「ハーメルン」のロケ地にもなったそう。しかしその後解体の危機がなんどかやってきてその度にそれを押し戻し、クラウドファンディングなども活用。改修を行い現在の形になったんです。

その際施設名公募を行い現在の「喰丸小」となります。シンプルで好感が持てる名前だね。きっとみんながそう呼んでいた愛称そのままなのだろうね。いいよね、それで。そういうのがいい。

とにかく美しいのです。

その美しさに山あいの集落というロケーションとシンボルとなる大銀杏が感情を揺さぶってきます。教室も懐かしい空気でいっぱいだったよ。黒板と教壇、オルガンと小さな木製の椅子と机。ノスタルジックな空間。どうも大林映画なんかを思い出してしまいます。日本が美しい国だった、そういう時代の香りがしっかりと残っています。なんと気持ちの動く場所だろう。

 

あまりへんなふうにモダンにしたりしておらず、丁寧で元通りに、という思いが伝わる修理と改修が行われていてどういう風に残していきたいかが伝わってきます。天井の電灯線の引き込みなどハッとさせられました。使えはしないわけですが、ちゃんと残してあるんです。こういうところに心意気を感じます。

わたしは東京下町生まれ、1970年代に小学校に通っていたのですが、そんな場所でも小学校の時にほんの少しだけ木造校舎にいたことがありました。すぐに解体されて建て替わってしまったんですが、うっすらと記憶に残っています。

新しいコンクリート校舎になっても床だけは今となっては贅沢な丈夫で厚い板張りだったなあ。

そんなこともあってエモーショナルな部分を揺さぶってくるものがあります。

こんどは晩秋、銀杏の木が黄色く色づく季節にもう一度。

 

 

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