カレーですよ5733(湯島天神 ステーキしのだ)ハードボイルド・ステーキカレー。

湯島天神の坂道を自転車でのぼっていたのです。それですぐにあきらめて(電動じゃないからー)自転車を押すことにしました。けっこうな坂道なんだぜ。

 

 

カレーですよ。

 

 

たまに自転車で少し遠出をするんですが、普段高低差を意識していないと少々痛い目にあったりするわけです。まあそれはそれで面白いからいいんだけど。

ブロンプトンというやつを持っていて、重宝しています。バード電子の斉藤社長に譲ってもらったやつ。小径車だけどそこそこのスピードに乗せられるし折りたたみだけどなかなかどうして頑丈にできています。これはいいものです。日常遣いにぴたりとくるよ。

とはいえどうもこう、わたしの整備が行き届かなくてもう少しなんとかしてやりたのだけどね。内装3段というスターメーアーチャーの変速機がどうにもわたし程度の技術ではおっつかない、調整が難しいやつなんです。昔はランドナーあたりを随分色々と自分で組んだものなのだけどさ。ホントにむかしだからなー。

それで自転車で神田界隈をぶらりほっつきあるきます。湯島天神の坂道を登るとブロンプトンのGラインの電動あたりが欲しくなってきます。そんなこんなでのろのろと自転車を押して坂の上まで辿り着くとちょいと心惹かれる建物が見えました。小さな建屋なんですが蔦が大きく覆っており、ぱっと見ではなんの建物かわからない。気になってよーく見ると看板が出ていました。

 

「ステーキ しのだ」

 

とあります。ほおお、ステーキ店でありました。なるほどそうか。しかし、、いや、うーん、営業しているな。うん、やってる。なんかすごくやってるかやってないか分かりづらい気がします。でもこれくらいでいいんだよなあ。

あんまりけばけばしい営業中アピールは趣味じゃありません。で、だよ。しかもだよ。入り口のドアに黄色いボードがぶら下がり、そこに大書きしてあったのが、

 

「ランチ ステーキカレー コーヒー付き」

 

という文字。うわー。

ちょいと入りづらい空気もあったんですがカレーという大義を得れば百人力、2000円という値段にかけらもためらわずドアに手をかけました。そこを開くと圧倒される店内の雰囲気。昔のまんまという言葉がこんなに似合う場所は多くないでしょう。すごい雰囲気があるなあ。

巨大なテーブルが2台、向かい合わせでおいてあります。それを囲むようにU字型にソファを這わすレイアウト。天井にはそのテーブルの位置に合わせて巨大なダクトが口を開けています。そしてテーブルには大きな鉄板がビルトインされており、どうやら店主はその鉄板と鉄板の間、2台のテーブルのあいだに身を置いてその場で調理パフォーマンスを見せてくれる、という様子。こりゃあすごいお店にはいってしまったぞ。クラシックな鉄板焼き調理のステーキのお店だよ。あれだ、うかいとかの流れと同じパフォーマンスのね。

 

すごい楽しいんですよ。入った時はお客はひとり。店主も客席のソファーに腰掛けてスプーンを磨いたりニンニクを剥いたりしていますい。それで店主お一人で回してらっしゃるようで、わたしの注文を受けて一度厨房に店主が引っ込んで、帰ってくると肉を持っています。その肉を鉄板にばらっとばら撒いて「ジューッ!」。うはあ、こりゃあこりゃあ。盛り上がるなって言われてもそりゃ無理ってもんです。これでランチタイムだってんだから、恐れ入ります。わくわくが止まりません。

 

 

肉、素晴らしいなあ。今のA5が、とかサシだ霜降りだとかではない、赤身。クラシックなステーキ店らしい、鉄板焼き店らしい雰囲気の肉で、納得ってものがあります。例のあの取っ手のついたアルマイト洗面器みたいなあれ、ステーキカバーと言ったっけか。あれで蓋をして蒸し焼きするんです、目の前で。なんとも贅沢だなあ。

でね、その鉄板の端にやかんが乗せてあり常に湯気を出しているのもいいんです。雰囲気というものがあります。このやかんからお湯が注がれコーヒーを淹れてくれるんですよ。この世界観!たまらんなあ。古い探偵映画かなんかの中に入り込んだような気分です。クドウちゃん?いや、濱マイクかな。

 

そんなお肉を焼き上げると2回目に奥に引っ込んだ時に持ってきたカレーライスにザクっと肉を乗せてくれます。これで完成。悲鳴が出そうだよ。そしてサラダ、どかーん。ボリュームがあります。シンプルなビネガードレッシングが雰囲気にぴたりときます。

カレーは黒く骨太な感を持つ渋いクラシックカレーライス。甘さを抑え込み香ばしさ、苦味と旨味で食べさせるというスタイルです。こういう味のカレーには甘いらっきょうがよく合うんだよ。案の定素晴らしいバランスで納得がいきます。苦味と旨味でキメたカレーライスにらっきょうの甘みが乗って本当ん完成を見ます。素晴らしい。

このレストランの空気を呼吸しにいくだけでその価値が得られると思います。いや、ダメダメ。この黒いカレーとこれでもかと入った牛肉塊を食さねばいけない。

それで、完成。完璧です。