カレーですよ5773(お茶の水 ヒナタ屋)お茶の水上空でタイムスリップ。

お茶の水の界隈、子供の頃からよく遊ぶ場所でした。本、スキー、電子工作に古い建物と喫茶店。好きなものばかりが集まっていて、電車1本ですぐに辿り着いて。レストランや飲食店も当時店の数は限られていましたが面白いお店がありました。

 

 

カレーですよ。

 

 

場所柄学生でも入りやすいお店も多かったですね。わたしは若い頃からどうも外国の料理に興味があったようで、駿河台の坂の途中にあるロシア料理の「サラファン」にはよく通っていました。

あの頃、あの古いビルの地下に降りてゆき、お店に入るといきなり怒鳴り声が聞こえたりするんですよ。おお〜今日もあれだな、なんてニヤニヤしながら入るとお店の店主のロシア人のお婆さんが日本人従業員をめちゃくちゃな勢いで怒っていたりしてて、それを横目に首をすくめながらランチの注文をしたりしていました。

久しぶりに行ってみようか、と足を向けたんですが残念、今も昔も人気店。この日のランチは売り切れでした。ならば、と上階に向かうことにします。狭い螺旋階段とごちゃっとした1階踊り場の看板たち。こういうものたちがこのビルの価値を押し上げていると感じます。

ここには昔しのお茶の水のにおいいが残っています。建物のキャラクターの強さは折り紙付きで、このビルのボス的立ち位置である(と、わたしは考えています)ロシア料理のサラファンの貫禄もそこに強さを与えているといえましょう。

さて、螺旋階段を一つ分を登ると古い古いエレベーターがあります。感慨深い、古くて無骨な手動開閉式エレベーター。このエレベーターと螺旋階段はちょっとこの建物の背骨のようなものだよなあ、なんて感じています。物理的にも精神的にもね。目的の階のボタンを押して待っているとゆっくりと篭が降りてきて到着のランプが灯ります。

扉は手で開けるんです。するともう1枚、格子状の扉が現れます。これも手で開いてエレベーターの篭に乗り込みます。そうやってゆっくりと3階まで上って同じ手順で篭を降りたら少し上に扉が見えます。

 

「ヒナタ屋」

 

に到着です。

ヒナタヤ、久しぶりになっちゃったな。相変わらず趣味の良いインテリアと快適な店内。ヒナタヤはお茶の水を眼下に見下ろす快適なカフェという認識ですが、カレーがとても美味しいお店。

そのバランスは五分と五分でカレーの旨さはその素晴らしい景観に匹敵し、眺めの良さと快適さはカレーの美味しさを凌駕するやもしれない。そんな奇跡のようなバランスの上に立つお店なんです。

この日の数量限定、7月スペシャルは、

 

「夏野菜キーマカレーと3種の野菜マリネ」

 

ではそれにしましょうか。

やってきたカレーはなかなかに見目麗しい姿。パプリカのマリネの赤が大変美しく、皿の絵柄を引き締める役割を果たしています。暑い時に綺麗な見た目で食欲をそそってくれる料理はいいね。

さて、カレー。土台に肉と玉ねぎの旨みが強い、コリアンダーシード弾けて爽やかな良いキーマです。ナスやズッキーニなど夏野菜も味、食感とも良く嬉しい限り。これはおいしいな。

マリネたちがどれも全部いいんです。まずはパプリカのマリネが存外の旨さ。肉厚で風味強いパプリカの食感がいいねえ。山盛りにしてマリネサラダとして食べたくなります。

ニンジンラペ、これもいい。水分多めで酸味柔らか。ジュースを飲むような感覚があります。キャベツは浅漬けのザワークラウト的仕上がり。いいな、おいしいな。酸っぱさでヨダレがいっぱい出てそれがいいな。

そして特筆、追加したトマトラッシー。これがどうにもクセになるおいしいやつでね。ラッシーの甘みにトマトジュースの酸味と風味が乗っかって軽やかになるんです。ああ〜これは好み。ラッシーもお店によって味の幅のあるものですが、ヒナタヤのこれは絶妙バランス。とても良かったよ。

久しぶりのお茶の水上空。やっぱり居心地がいいのです。そしてお店を出るとまたあのエレベーター。あれに乗るとタイムスリップを体験するような気持ちになります。あれに乗って昔しのお茶の水にやってきて、しばし心の安息をもらって。

 

それでまたエレベーターで2026年の暑い夏に帰っていきます。