
世の中にはちょうどいい辛さってものがあります。「世の中には」って書きましたが、訂正。全世界、全世代、全人類共通の「ちょうどいい辛さ」なんてものはないよね。辛さの基準は本当にその人個人個人で全て違うと思っていい、そう考えています。
カレーですよ。
美味しさとかそういうものにも共通するのですが、絶対的な標準値というものをわたしはいつでも疑ってかかっています。たしかに少しピントをずらしてぼやかしてやると幅広の「だいたいみんなが好き」とか「多くの人にとってのちょうどいい辛さ」なんてのが見えてきます。ただそれは、やっぱり少し輪郭がぼんやりしててジャストではないんですよね。だから個人的にはという前提で話をすればいい、それだけなんです。

写真に写っているレトルトカレー、これがわたしの一番「ちょうどいい強めの辛さ」のカレーです。大好きなやつです。その名前を、
「ミャンマーチキンカレー チェッターヒン」
といいます。これを企画製造販売している会社の代表、ヒロスケさんが強く押し出してこの耳慣れない名前を叫び続けているうちに、だんだんと「チェッターヒン」という料理の名前が広まってきました。もちろんまだ全然一般的じゃあないでしょうけれど、あのマツコデラックスさん(辛いものが苦手)がテレビで「これおしいい!」と発言して以来勢いがついています。

いや実際えらくおいしくてね。区分けで行けば激辛ということになるようですが、たくさん入った玉ねぎの奥行きと甘み、それにチキンの旨みの太さで辛さが上手に暴れないように抑え込まれており、確かにえらく辛いんだけれど、どんどん食べられてしまう、そういう料理に仕上がっています。

本国のチェッターヒンにジャストというわけでもないとも聞いていますが、たしかに高田馬場あたりで食べるやつとはまた少し違ったところもあるんですが、とにかく美味しい。クセになるんです。本物かそうじゃないか論争なんであんなちっぽけなものは全く関係なく美味しい。おいしさの力に捻じ曲げられて細かいことはどうでも良くなります。それは、このレトルトパウチカレーそのものが持つパワーです。

そして本物の証さえ持っている。それはヒロスケさんが、ミャンマーでの軍事クーデター勃発(2021年2月1日)以降のミャンマー軍政権の狼藉を見かねていっときたりとも休まずにミャンマーの支援にあたっているから。街頭募金を在日ミャンマー人の仲間と共に継続、もう5年以上も途切れなく活動しています。そういう男が作ったレトルトパウチなのです。

いつもその想いを込みで食べています。
食べて、書いて、わたしも少しだけミャンマーの人に報いることができればいいと思っています。
