カレーなしよ(初台 シルクロードタリム)賢人たちとの夜。

少し前にウイグル料理のレストランに偶然入ったことがありました。その時はポロを食べたのですが、これがなかなかおいしかったのよ。そのことをSNSで書いたところ、久しぶりの仲間が反応してくれました。ちょっとうれしくなってその彼らと同じ店へ食事に行くことに決めました。

 

 

カレーなしよ。

 

 

初台にあるウイグル料理の専門店。この間偶然通りかかって一人で入ってポロを食べました。

メニューを開くと聞いたことのない料理がたくさんあって脳が刺激されます。こういう感じは久しぶり。レジの横にたくさん置いてある絵本「私の身に起きたこと: とあるウイグル人女性の証言」のことも忘れてはいけません。

そしてこの夜はこういうお店に反応してくれて各専門分野の知見を活かして料理について、歴史について、気の利いた意見をくれる仲間が集まってくれました。ああ、こういうのこそ求めているものだなあ。

 

「シルクロードタリム」

 

ウイグルのその周辺の位置関係を頭に浮かべながら、注文です。

と、思ったのですが、今日はわたしは口出しはせずとしました。なにしろテーブルを共にするのはその道の賢人ばかりだもんね。

焼きそば史編纂を少し前に終えてその書籍が話題となった塩崎さん、そしてマツコの知らない世界でおなじみ、東京餃子通信編集長の塚田さん。アジアを旅するとわかるんですが、思い出すのは困った時は餃子と麺類と炒飯に似た感じのものを頼めば大方ハズレを引くことはないという話し。ましてや二人はその道のプロフェッショナル。餃子の子孫の餃子的料理と焼きそばの孫の焼きそば的料理など頼むなら無敵のコンビなわけですよ。

ちなみに隣にはナポリピッツァのスペシャリスト、jaffaさんが控えているのです。もちろん平べったい粉を練って焼いたものも頼むわけです。サイコーです。

ケーリンハミセイは羊の胃袋サラダ。

サラダとあるんですが、肴ととるのが正しいね。味付けは酸味がほんのりで歯ごたえよく、ちょっとクセになります。強過ぎない味わいで酒の肴でもサラダ代わりでも悪くないぞ。

コイパチャックコルミス。

ナスと羊の足の炒め物。ピデゲンコルミスと似ています。そっちはナスとピーマンと肉炒め。でこちらは羊の足ですね。ピリ辛、コク強く旨いねえ。ほねがガリガリとついていて食べ応え感じます。軟骨部分がやけにうまいなあ。これはたまらないなあ。

コルマチョップ。

なんだか必殺技のようでかっこいいんですが、うどんを使ったソバメシとでもいいましょうか。そういう感じです。これが存外旨いんだ。旨味強く、食感楽しく後を引くよいものです。野菜、肉、うどん共にビッツのサイズを上手に揃えてあり、その中でそれぞれの食感が混在するのがとても楽しい料理です。

プルチャックウユツミスコルミス。これまた難しい名前ですが、ウィグル風麻婆豆腐です。これはもう言い切り。だってもうそのまんまの麻婆豆腐。麻婆豆腐の麻辣要素を黒胡椒で代替えした感じですっきりとしていて旨いんです。豆豉も使いすぎて味噌っぽくしたりしておらず、良い着地。ああこれは、かなりいいぞ。本家の麻婆豆腐よりも好きかもしれないなあ。

タリムコルマチョップ。

こちらは焼きそばというか、焼きうどんというか。炒め麺ですね。塩崎さん担当です。汁がやけにうまいなあ。

ゴシナン。

ウイグル風のミートパイ。これ、うまいな。やっぱり肉はマトンでどの肉料理もお肉の香りや扱いが上手で臭みではなく香りに昇華させてあるのが素晴らしいねえ。jaffaさん担当と言えましょう。

トゥギレか、ペテルマンタか。

どちらであったかな。タレがついてなかったからペテルマンタだったか。水餃子。

マトン水餃子ですね。肉の存在感がとても強いものです。クセはあるけどぎりぎり嫌味にならない線をうまく落とし所にしていて旨いです。これはもう見るからに塚田さん担当。

ラグメン。

これはご存知の方も少しいるはずの有名なウイグル料理。あんかけうどんとでも例えられるやつ。優しい味でお腹が温まります。

ポロ。

炒飯、もしくはピラフだね。メニューにはウイグル風ピラフという表記がありました。ポロはピラフ、ピラウ、プラウ、プロフと親戚が多いもの。一番遠い親戚はパエリアだと考えられているそうですよ。パピプペポでパとペがないなあ。世界のどこかにあるのかなあ。

油でつやっとした感じが嬉しいイスラミック炒めご飯です。スパイス使い控えめ、レーズンやナッツなど甘み要素が入り、野菜の甘みと旨味も乗っかっていてすごくおいしい。肉はマトン。野生味少々でちゃんとマトンらしさは残してあるけどキツくなっていないのはさすがです。旨味がまろやかで深く旨いなあ。

ヨーグルトがつくんですがクリーミーで、甘みがあることにちょっと驚きます。酸っぱくないんだよ。

思い出したのがわたしの好物、パキスタンの甘めに決めたカブリプラオ。あれはニンジンがグラッセかというくらい甘い。ナッツやレーズンもたくさん入るパーク炒飯。あれに近いと感じました。ヨーグルトが甘いのは不思議だなあ。

ケティックとマロジニー。

ケティックはヨーグルト。酸味は控えめで食べやすい。さっきのポロについてたのと同じだね。マロジニーはアイスクリーム。香りがよかったよ。

たっぷりと食べて腹一杯。食のスペシャリスト、それもトップの友人が集まってメシを食いました。そういう連中でなければ拾い上げてくれないような細かく深い話題に翻弄されながら幸せでいっぱいの時間となりました。カレーとか南アジアのサークル内だけの話にとどまらないアジアを越えてヨーロッパ界隈まで知見が飛び出すようなこの仲間と話すのは本当に刺激的で価値があります。

そして食事はやっぱり誰かと一緒にするのがからだと心にいいのではないかな。

そう強く思う夜でした。