【コラム】無人販売所(霞ヶ浦栗田 東の里)圧巻のカントリーテイスト。

無人販売の小屋が好きなんですよ。無人販売所、いよねえ。売ってるものが楽しかったりその場所でできた作物ってことで価値があったり。そしてあたしはそれ以上にあの小屋が特に好きなんだよねえ。餃子とか冷凍の無人販売ではないぞ。畑の横にポツリと佇む屋根付きの野菜棚、みたいなやつのこと。あれを見て歩くのはね、なごみます。

2×4材で色気なく朴訥に作ってあるやつも好きだしベニヤを手をかけて装飾カットしてかわいらしく仕上げたものね、いい。人が中に入れる規模のものもあったりして楽しいし。それぞれ作家、というか農家さんのセンスというか。こだわりが楽しくてみて歩くのをやめられないんです。じつは密かに思っているんだけどね、全国の無人販売所を巡って「農家の無人販売所」という写真集を作ってみたいのです。

今回は茨城ですごい物件に行き当たったよ。規模感もセンスも突出していました。こういうアプローチがあるかあ、と驚かされっぱなし。すごかったよ。

茨城県笠間市に栗を仕入れに行ったんです。思い込みがあってね、栗が好きなんですが栗といえば小布施!など思い込んでたんです。それ間違ってた。生産量日本一は茨城だった。笠間市、日本一であった。そうかあ、そうだったか。それで笠間で栗を仕入れてモンブラン食べて栗ざんまいなんてやりまして。

その道すがら行きあたったのが、

 

「東の里」

 

という屋号までついている無人販売小屋でした。

屋号のつく無人販売所は少数派だと思います。

それはさておきともかくすごい。何がすごいかっていうと、そのセンス。これ、あれだな。ブリティッシュカントリーのスタイルではないかしら。どうだろう。アメリカンカントリーの明るさから来るいい意味での暑苦しさより、もう少しだけ曇り空が似合いそうな感じ。いい、いいぞここ。

圧巻はトラクター。こりゃアンティークだね。アメリカの「ジョンディアトラクター」。あれだよほら。よくスーパーマーケットのお子様コーナーに回転式什器を置いているシクのお安いミニカー、あるじゃないですか。あれによくぶらさがってるやつ。グリーンのボディに黄色いホイールの農作業車。あるよねえ、売ってるよね。あれの古いモデルだなこれは。かわいい鹿のエンブレムが愛おしい感じです。これは圧倒されるなあ。

このトラクター、いい感じに使い込まれてボロになって不動になったという風情でね。これ、どうしたんだろうか。もし農家さんで使っていたものそのままだったらそりゃあすごいしそれを軸にこのこやと装飾の構成を組み立てていたらそりゃもう手練れとしか言いようがありません。素晴らしいセンス。

 

トラクターの横にこれまたセンスよくディスプレイされた、いや、ディスプレイという華美なものではなくてシックで本当にリアルな生活の道具の古いものという風情を醸し出す上手な小物や陳列台のセンスで小屋をカントリーテイストでまとめてあります。その中で野菜などの農産物を売っているんだよね。いや圧巻。買い物が楽しくなるとはこのことです。

 

午後遅めの訪問であったため種類は控えめだったんですが、そこから長茄子をひと袋買いました。5本入って大変お安かったよ。

おうちに帰って奥さんがなるの蒲焼にしてくれました。

ちょっと離れがたい、素敵な小屋だったなあ。