
何を食べようかとウロウロしてしまうことがよくあるのです。お前なんかカレーくっとけばいいだろう、と思うあなた、それは全然違う。
カレーですよ。
そういう者には小一時間、そもそもカレーとはなんぞやというところから詰問する準備があります。ただカレーという名前がついていればいいわけではないんです。この世の中にくだらない食べ物なんてのはありません。それに近いものがないわけではないけどね。

迷いながら歩く神田のガード下あたり。焼肉屋とか味坊をのぞきながらカレーやめてなんか旨い肉か魚食うかなあ、とかそんな気持ちになりかかった矢先。お、さかな。さかないいなあ。
「宝山 いわし料理 大松」
という看板。定食があるらしいぞ。よし、いいかもしれない。あ、あれ、なんかこの店の名前を最近聞いたような。なんだったか。えーと、あ、カレーだ。
先日盛況の中終了した百貨店イベント「伊勢丹カレーフェス2026」大変楽しい催しでした。そこでご存じ36房チームにオススメにて手渡されたのが大松のイワシキーマカレーでした。そうか、あれまだ食べてなかったけどお店はここだったのね。

それじゃあレトルトカレーを食べる前にお店でオリジナルを食べておかなくちゃね。ここにしましょう。お、先払いなのね。さすがサラリーマンの街のランチだねえ。そういう感じ、好きですね。
「大松特製いわしキーマカレー」
を注文。

カウンターに腰掛けてキョロキョロすれば、お店はまるっきり和食の居酒屋風情。いいよねえ、神田とか新橋でこういう感じの店で昼メシ食うのは。ランチメニューもそんな感じでフライに刺身にづけ丼といわし三昧です。カレーは、、別のメニューにありました。さあ、カレーの時間だよ。
あ、なんか、おもしろいのがきたぞ。なんだろうこの既視感は。なんだこの違和感は。

出て来たのはワンプレートにまとめられたカレー、、、なのかしらこれは。それと味噌汁と沢庵。違和感感じるのはなんでだろう。えーと、、あ、わかった。目玉焼きだ。丸いごはんの上に無造作に乗せられた目玉焼き。その横に唐辛子を砕いた調味料。これってタイあたりの料理、例えばパッカパオラーカオ(ひき肉ガパオ炒めかけごはん)のガパオ炒めの部分を取り除いた感じじゃないかしら。そういうふうに見えるんだよ。このビジュアルに反応してテーブルにナンプラー探しちゃったもん。そういう感じだな、これは。

一方肝心のカレーはというと、いわしキーマな訳なんですが、つやつやしてないのであります。よくあるキーマカレーはツヤツヤでしょ。あれじゃなくて艶消し色。なのでなんかハンバーグみたいに見えます。その横にいわしフライがついていて余計に洋食屋さんのハンバーグとフライの定食っぽく見えるのよ。

まずはいわしフライ。これ、サイコーだ。昔の揚げ物風のパリッと固い衣の食感がいい。イワシはふっくらして舌触り良く旨みたっぷりで、3枚くらいぺろりと食べられる感じです。このフライだけの定食でもいいなあ。むしろいいよなあ。
さて、カレー。いわしキーマ、なるほど面白いなあ。こういう感じかあ。イワシだけ挽いてあるのかしらね。そういう感じで味的にもあまりカレーカレーさせてない調整も好ましいんです。むしろ和食に寄せてある感じがするなあ。こりゃあずいぶん美味しいね。

イワシの味が強く出ていて上出来です。カレー味が余計なことをしてこない絶妙な距離感。ここに先ほどの唐辛子ふりかけと目玉焼きを合わせるんです。少し醤油を垂らしてもいいかもね。ますます和食風になる、、かと思いきや。どうもこの唐辛子ふりかけがきっかけになって、和食に近づいていった距離感がまた離れていくのが面白い。へえ、これはなんか、、おもしろいなあ。
相変わらず前情報なしでやってきたのであとで調べたら。なんでも女将さんがミャンマーの出身なんだとか。アルバイトからスタートして社員になり、先代から引き継いでいまは社長を務めているそうです。そういう一角ならぬ人物なのでヘタな日本人よりずっと実力高く、そういう人が指導するから引き締まったいいお店なのだね。納得がいきます。

あ、なるほど!だからあの既視感があったのか。ミャンマーとタイは隣り合う国で食のカルチャーに重なる部分がたくさんあります。ってことはあの唐辛子のフレークはバラチャウンということになるのかな。わたしがナンプラーを所望したのもあながち間違いではないんじゃないかしら。実に面白いね。

そういえば神田カレーグランプリの決勝戦でも看板を見ていたことを思い出しました。
実力派なのです。
