カレーですよ5837(神田駿河台下 お茶の水、大勝軒)祭りのあと。

「神田カレーグランプリ決定戦」が今年も終了しました。今年もカレー識者ということで神田カレー街活性委員会の中俣委員長にお声をいただき審査員として参加を果たしました。

 

 

カレーですよ。

 

 

グランプリの発表でその熱気は最高潮に達し、そして祭りは終わります。店々が撤収をしていき、友人たちとは別れの挨拶をして、広場の灯は消えて。

祭りの後というのはどうにもセンチメンタルなものです。その最中の熱気と興奮、熱狂が収まると体温も下がり、心の波風が収束して鏡の水面のようになって、少し靄がかかってくるような気分になります。いつもそう。この時間は切なくも好ましいもので、その余韻を楽しむために一人になりたくなるのです。友人たちと別れて、そっと食事をして帰ろうと思います。そういう時はカウンターがいいし、静かな店がいいな。

日曜日の夜の、

 

「お茶の水、大勝軒」

 

は好きなのです。いわゆるラーメンの類をちっとも食べやしないわたしでありますが、それでも数軒、行きつけはあるよ。そのひとつがここです。

田内川店主は日曜夜はお休みです。知ってます。以前は名うての大勝軒各店で腕を鳴らした老練な二人の職人さんが穏やかに淡々と店を回しています。お客たちも穏やかで、すーっと食事を済ませて静かに店を出てゆきます。この空気感が好きで、昼間の祭りの熱狂とのコントラストが好きで、「神田カレーグランプリ決定戦」2日目の帰り道はここに寄ってちょいとなにか食べるというのが知らぬ間に決まり事となっていました。

もともとBGMのない潔さが気に入っています。そして日曜日の夜のお茶の水界隈ともなると1日を終えて明日からの仕事に思いが向く人々が淡々と食事をしている感じで、ざわついた空気はありません。ラーメン店は一人客が多いのも一因かな。店内はさざなみがほんの少し立つ程度の落ち着き加減でひとりでの居心地がいいね、ほっとします。

この夜は

 

「特製もりそば ミニカレー 生レモンサワー」

 

という注文としました。

特製もりそばのつけ汁のあれ、醤油を土台にした旨あますっぱいあの感じ。あれがとてもいいのです。麺の喉越しとか、よくつけ汁をひろいあげてくれる感じとか、いいよねえ。あつもりと迷ったのですが、ゆっくり熱狂からさめていく自分の気分とシンクロしてくれると思い、もりそばにしました。

ミニカレー、うまいなあ。しみじみうまい。「お茶の水、大勝軒」のカレーライスを食べるたびになんというのかな、思い知らされる感が強いのです。日本のカレーライスというものはこんなにいいものだったか、という気持ちになるんです。もちろん「お茶の水、大勝軒」のカレーライスであるからなんですが、ラーメンのスープを土台にするというのはこんなにも料理に力を与えるのかと舌を巻くのです。ラーカレというキーワードが頭をよぎります。

「特製もりそば」の甘酸っぱいつけ汁が恋しくて、カレーの方はミニを注文をしたんですがフルサイズでも良かったかもしれないなあ。でもそれは食べ過ぎだなあ。

 

荒ぶる気持ちがどんどん静かになってゆきます。2日間、何度も会場をぐるぐると歩き回り、喧騒の中、調子の良くない耳で人の言葉を必死に拾い、すっかり疲れ果てました。腰が重たいな。とはいえ、帰らなければ。

小川町駅まで歩き、改札前の木徳神糧さんの看板に頭をチラリと下げて、都営新宿線に乗り込みます。また来年も同じように麺を啜ってのちここまで歩き、改札を通るのだろうな、とふと思います。