
江戸川宇喜田界隈。最近ちょっと面白い店が増えてきたんです。インド料理のレストランの話しです。
カレーですよ。
船堀街道、宇喜田公園の向かいには「グリーンバイツ」があります。ベジタリアンレストランでベジインディアの他にベジバーガー、パスタなども食べられるんです。チャートやインディアンチャイニーズのフライドライス、プラオなどごはん料理も。

北葛西の「コッチヨ」もいいんです。ケーララ料理の小さな店で南インド料理とそこ(南インド)で流行っている中東料理が楽しめるという変わり種。イエメン発祥のヤマニマンディとここのオリジナル、鍋ポロッタが名物。どちらもよくある「日本にあるインド料理の店」とはちょっとニュアンスが違う料理を出してくれる楽しいお店。
そしてここ。
「デサイズ/Desai’s」
も特別なお店です。マハラシュートラ州の料理が食べられる日本では数少ない店、ということになるかしら。貴重なお店なんです。それはいいんだよ。それはいいのだけど、民家であるよ。

まるっきり民家で、しかも通りに面しておらず、ものすごく入りにくいわけです(わたしはどんな場所でも平気なんであるが)。看板もほぼなし。民家のドアだから当然中も見えないわけで。恐る恐るドアを開けるとやっぱり普通の民家。いやいやいや、ひさしぶりにすごいぞ。

インドのスタッフさんがどうぞ、と言ってくれるわけですが日本人的に玄関があって土間があると履き物は脱ぎたくなるわけで、でもここは土足で。客席は2階のようで階段を上がります。やっぱり民家(繰り返し/笑)。少しだけお店的な意匠もあるにはあるんですが、やっぱり普通に民家であるよ。

わたしは土足で人のうちに上がり込んでふんぞり返ってカレーを注文する乱暴な男であるよ。そんな感じの画になるわけです。ふんぞり返っていないけど。
メニューが面白いんです。

マハラシュートラ州でも州内での各地方の料理が並んでいるようです。詳しいことはわたしも理解していないんですが。そのなかでどうやらこれだな、とアタリをつけたのが、
「スペシャルミサルターリ」
なんとなく見た目もいい感じ。ミサルというワードは「ミサルパウ」で知っていました。葛西の「レカ」や西葛西の「オーパイヤ」でその名前を見ているからね。発芽緑豆のちょっとクセがある美味しいスープ煮込みのあれだと思う。ターリになっていて、パンとスープの軽食よりも充実した内容と把握しました。ではこれにしてみましょう。

やってきたのがこれです。
パパドがあってパウ(パン)が2個あって、味変とサイドのきゅうり、レモン、玉ねぎ刻み。ファルサンはパフとかセブとかのミックススナックです。あの袋に入って売ってるやつ。私も好きでたまに買うやつです。それにメインのミサル。香ばしいカート(スープ)も。それとデザートにグラブジャムンが2粒。塩ラッシーも一緒のターリに乗ってくるという充実の内容。


ミサルは発芽緑豆とトマトや玉ねぎでできているみたいで、すでにファルサン(スナック)が少し入っています。さらっと粘度ほぼなしの赤くて少し辛いスープに発芽緑豆が入り、スナックや玉ねぎが追加できて、というかたち。適度な辛さと旨みとは違う味のふくらみ、ふくよかさ。ああ、これはいいな。シャキッとした印象で輪郭のはっきりした、しかし尖りすぎない料理です。うーん、美味い。

カートはクリアスープ。これは肉を塩やターメリック、ガーリック、ジンジャー等で煮込んだシンプルで旨いやつです。ちょっと香ばしい豆のようなニュアンスもあって面白いね。辛めの仕立てが心地よい。これいいなあ。


パウはなんというのかなあ。パンではなくパウであり、近所のパン屋で売っていそうで、でも違う。そんな感じです。たしかにパンではなくパウだなあ、と思うんだよ。トウキョウミタイワラのパウバジでもそう思ったことがあります。一体何が違うのかな。なかなか言葉で伝えられないんですよ。むずかしい。


塩ラッシーがスープとドリンクの中間という感じで切れ味良く、どの料理にも味の邪魔をせずよく合うのがよいなあ。爽快で気にいりました。これがあるからグラブジャムンも2個ぺろり、であるよ。

とにかくよかった。いい料理、外国の郷土料理、地元メシを食べたという満足感が大きいです。


商売というやつは時にそのものの本質をずらしながら進んでいくことも多いです。料理など顕著だと思うんだ。悪いことではないとも思います。その土地に馴染んで融合してゆくんです。それは当たり前で自然な帰結と感じます。しかし、原初の形を知ること、その味や形のルーツ、歴史を知って食べるのと知らずに食べるのではやはり体験も学びも濃淡が出るのは否めない。でしょ?

濃厚な食体験ばかりを推すつもりはさらさらないんですが、知って食べる楽しさというものは確実にあって、損得であえていうけど知らずに食べるのは勿体無いというシーンがたくさんあるんです。
この店も、そういう場所の一つです。
