
千葉にあるこのお店にはじめていったタイミングがありました。感激したよなあ、すごい店ができたなって。同時期に平塚の端にあるお店も知ることになったんです。偶然なんだけどね。
カレーですよ。
両方の店に共通したものがこの店の近所の人は「もはや東京に行く必要がないのではないかな」という感想。気持ちの奥の方から自然にわきあがった言葉です。本当に心からそう思ったよ。むしろ都内の凡庸な店には立ち打ちができないであろうと言うレベル。

こころから、時代の切り替わりを感じたものです。
平塚にある店は「ニューローズ」。そして千葉に「ベンガルタイガー」。
そのベンガルタイガー」に2025年秋、ブランチができたのです。
「ベンガルタイガーエクスプレス」
ほぼ千葉駅の構内と言ってもいい、千葉駅西口直結のビルの2階です。千葉駅の西口はメインエントランスの裏側、勝手口と言った風情でね、あまり華やかなエントランスではないんですが、クルマでの送迎にはかえって便利な場所なんです。その送迎車ロータリーを見下ろすような形で「ベンガルタイガーエクスプレス」があります。

「ベンガルタイガー」の本店を知る人間にとってはおや?と思うようなイメージの違い。本店がレストランであればここはカフェのイメージでしょうか。まさにエクスプレスな感じです。当然ながらサヒドシェフがいるわけではなく、スタッフの女性がカレーを出してくれます。お皿はペーパウェアだったりでかなり大胆に割り切りつつも、「ベンガルタイガー」の看板を貶めぬよう入念な設計がなされます。

メニューもかなり絞り込んであり、しかしベンガルタイガーのおいしさはそのまま、サヒドシェフの美しい盛り付けにつながるエディブルフラワー添えなどの心遣いもあって。血脈が垣間見えるのがうれしいねえ。なるほど間違いなく、ここは「ベンガルタイガー」のブランチなのだね。

メニューを見るとなるほど、これ以上でも以下でもない手堅いチョイスが感じられます。メインになる2種は、バターチキンとビリヤニ。それにフルーツラッシーと数種類のドリンク。文字にしてしまうと当たり前のものなんですが、ベンガルタイガーのバターチキンでありベンガルタイガーのビリヤニであるわけです。それはつまりあの個性と仕上がりを意味しています。要するにレベルが凡庸ではないと言うこと。

メニューの絞り込みは非常にクレバーなチョイスだと思う。誰もが好きなバターチキン、それにトレンドということでビリヤニを持ってきているから。小難しくならない玄関口を設計しているなあ、と納得いきます。戦略的チョイスと言ってもいいです。こういう場所ではこうでなくてはいけないもの。その先にあるのが本店、と言うことです。

ここでそれらを食べたお客たちが「なかなかおいしいので今度はディナーで本店のレストランに行ってみよう」と考えるわけです。すると、本店にはあのめくるめく世界が待っているという寸法。それを体験したお客たちは、もう本店から離れられないだろうなあ。注文はバターチキンカレーとしました。
「バターチキンカレー」
きちんと辛さがあるのがうれしいバターチキンカレー。


チキンが大変おいしいんです。マリネの味がとてもよくて、それ以上に食感が素晴らしい。カレーソースはナッツの香り芳ばしく舌に絡みつく濃厚な味。リーズナブルなバターチキンにありがちなつるんとした食感ではなし、舌にそのテクスチャーを感じさせる手応えもあって食べ応えを感じます。


手間のかかったソースであることが伝わってきて「これは知っているあれとは何か違うぞ」とお客に思わせるものを持っています。実力派だわ。これはいいです。美味しいです。


白眉はパイナップルラッシー。これは「キケン」のひとこと。わたしとしたことがカレーを忘れそうになるほどの感激の美味しさなのよ。設計と意思を感じる強めの甘さとパイナップルの香り、風味。飲み物なのに口の中で掻き回して何度も咀嚼したくなる甘美な味わい。ああ〜もうね、ずっとこれを飲んでいたい。お口の中、天国だわ。

サヒドシェフのフルーツを使うドリンクには毎度コテンパンにやられるわけですが(ものすごく美味しい。梨のラッシーとか気絶するほど美味しい)エクスプレスでも同じ目に遭うとは、と魂が抜けそうになります。飲み終わるのが辛くて若干挙動不審になったよ。これだけのために西口に来てもいいもん。千葉駅を通るなら腹がいっぱいでもドリンクだけでも買いに立ち寄るべきだよ。
フルーツラッシーで覚醒しました。やはりここにはちゃんとサヒドシェフの意思が届いている、と認識できました。これはまいったな。久しぶりに本店にも行かなければいけないよ。ほらね、思惑通り。本店に引っ張られてしまったよ。

さて、帰り道。
本八幡で乗り換えの時にジャガーさんと会うと、帰ってきたなあ感があります。
